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IoTの観点から見直す、クライアント端末環境の今後すご腕アナリスト市場予測(1/3 ページ)

PCが中心のビジネスにおけるクライアント環境も「IoT」時代には新たな視点が必要になる。今後のクライアント環境を考える。

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アナリストプロフィール

岩上由高(Yutaka Iwakami):ノークリサーチ シニアアナリスト

早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品およびビジネスの企画、開発、マネジメントに携わる。ノークリサーチでは技術面での経験を生かしたリサーチ、コンサルティング、執筆活動を担当。


 一般消費者向けの市場では既にスマートフォンが広く普及し、さらに最近ではゲーム関連を中心にVR(バーチャルリアリティー)に対応した機器も登場してきている。一般消費者を取り巻く端末環境はまさに日進月歩の状態といえるだろう。

 一方、ビジネス用途ではタブレットやスマートフォンを活用した取り組みが見られるものの、PCを主体とした端末環境に大きな変化は見られない。だが、ある切り口から眺めてみると、今後のビジネス展開で一歩先を行くために必要な端末環境とは何かが見えてくる。

 その切り口とは、昨今注目を集めている「IoT(Internet of Things」である。実はクライアント端末環境は「IoT」への取り組みを成功に導くための重要な要素の1つでもある。本稿では市場調査データを基にこの点について探っていくことにする。

Windows 10移行が進みつつも現状維持志向が強い

 まずはクライアント端末環境の概況を確認しておこう。以下のグラフは年商500億円未満の企業に対して、導入済みPCのOS(複数回答可)を尋ねた結果である。グラフでは主要なOSに関する2015年7月時点と2016年11月時点の結果を比較してプロットしてある。

PCにおける主要なOSの導入状況
図1 PCにおける主要なOSの導入状況(複数回答可)(出典:ノークリサーチ「2016年版スマートデバイス/PCから見たIoT活用の実態と展望レポート」)

 「Windows 10」は2016年11月時点で36.7%に達し、「Windows 8.x」を上回っている。「Windows 10」については2016年7月29日を期限として(以下、本稿での期日表記はUTC時間を用いる)「Windows 7/8.1」からの無償アップグレードが可能となっていたが、2015年7月時点で「所定期間内にWindows10への無償アップデートを行う」と回答した企業の割合は18.5%にとどまっていた。

 「Windows 10」導入率の伸びについては無償アップグレードによる駆け込みというよりも、多くの企業が今後を見据えて徐々に移行を進めてきた結果と見た方が良いだろう。しかしながら、全体に占める割合では「Windows 7」が2016年11月時点でも65.1%と最も多く、2世代前のOSが最も多くを占めるという状況が続いている。

 また、「Windows XP」や「Windows 8」のようにサポートが終了したOSが存在している点にも注意が必要だ。前者は2014年4月8日に延長サポートが終了し、後者は「Windows 8.1」のリリースに伴うサービスパックポリシーの適用で2016年1月13日にサポート終了となっている。特に後者についてはサポート終了を現場が認識できていない可能性もある。オフィスだけでなく営業所や工場などにおけるバージョンアップ漏れがないかをチェックしておくことが肝要だ。

 現在サポート対象となっているWindows OSの延長サポート期限は以下の通りだ。

延長サポート期限

 「Windows Vista」は2.7%と若干ながら残存しており、延長サポート期限が2017年4月に迫っている。同OSを利用している場合には早めに対策を講じておく必要がある。

 またWindows OS以外に目を転じてみると、「Mac OS X」や「Linux」の利用割合に大きな変化は見られない。新たな選択肢として注目を集めた「Chrome OS」についても、1%強の利用割合にとどまっている。「Android」が「Chrome OS」と比較して利用割合が高い理由はタブレットとPCを兼用できるタブレットPCとしての導入があるためだ。

 このようにビジネス用途における最も主要なクライアント端末環境であるPCについては、Windows 10への移行が進みつつあるものの、古いOSも残存しているなど、全体としては現状維持志向が強い状態といえる。

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