社内SNS、失敗事例から学ぶ運用の注意点:そこが知りたい!社内SNS
調査会社Gartnerの2013年調査によれば、社内SNSを導入した企業の「90%以上が失敗」という結果が出ている。この原因は何なのか。
まずは下のグラフをご覧いただきたい。これは2014年に米国の250人以上の従業員がいる企業55社を対象に、調査会社Altimeter Groupが実施した調査結果です。これによると、社内SNSは59%の企業で導入されているものの、積極的に利用しているのはわずか25%となっています。
またこれとは別に、調査会社Gartnerが2013年に世界の1000以上の組織・企業を対象に行った調査によれば、社内SNSを導入した企業の「90%以上が失敗」しているという、衝撃的な結果が出ています。
一般的なSNSがこれだけ普及し、多くの人々にとってなじみのあるツールになっているにもかかわらず、社内SNSが失敗してしまう理由はどこにあるのでしょうか。今回は社内SNSの導入事例からよくある失敗原因を挙げ、何が問題なのかを見ていきたいと思います。
(1)導入目的がはっきりしない
明確な目的を持たないまま社内SNSを導入すると失敗する確率が高まります。「社内コミュニケーションを活発にする」といった曖昧な目標ではなく、業務に即した具体的なものにすべきです。ユーザー数が少ない方が効果が分かりやすいため、最初から会社全体に導入せず、特定のプロジェクトや部署から、段階的に導入していくのよいでしょう。
(2)一部の社員だけが利用するようになってしまった
ITリテラシーには個人差があるので、FacebookやTwitterが普及しているといっても、使ったことのない社員も少なくないはずです。この現実を理解せずに、導入時に使い方の指導や疑問点に答えるなどのサポートを怠ると、SNSを使い慣れた一部の社員のみが利用するようになり、リテラシーの高い方のみのコミュニティーができてしまい、使い慣れない社員はついていけず、さらに使わなくなるという悪循環が生じます。
社内SNSが「仲良しコミュニティー」と化すと、業務には関係のないプライベートなやりとりが行われるなど、公私混同が起きやすくなります。そうなると、気軽に発言ができるというSNSのメリットも「なれなれしい」「ごく一部にしか通じない」発言を引き出す場へと転換され、社内のコミュニケーションを促進するという当初の目的とは懸け離れたものになってしまうでしょう。
(3)役員や幹部は関与しすぎてもしなさすぎてもダメ
意外と難しいのが、役員や幹部クラスの社内SNSへの距離感です。無関心はもっての外ですが、役員らが全く利用しなければ社員も使わなくなります。
しかしこれよりも弊害が大きいのが、役職者の不用意な発言です。本人は気軽につぶやいたつもりでも、それが特定部署や社員のミスを指摘するような内容なら、全社員の前で叱られたのと同じ。業務改善どころか、仕事に対するやる気を奪いかねません。
ここに挙げた例はごく一部に過ぎませんが、社内SNSを失敗させないためにも、ぜひ注意して活用してみてください。
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