検索
連載

光で組み合わせ最適化問題を解く「量子ニューラルネットワーク」とは?5分で分かる最新キーワード解説(4/4 ページ)

常温処理ながら従来型コンピュータの約50倍ものスピードで問題解く「量子ニューラルネットワーク」の実力を探る。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

D-Wave

 2011年に「世界初の商用量子コンピュータ」として話題を呼んだシステム(D-Wave Systems社製品)。実際には量子アニーリングによる組み合わせ最適化問題解決のためのシステムで「量子アニーラ」と呼ぶ方が正確だ。

「量子ニューラルネットワーク」との関連は?

 イジングモデルを利用し、従来型コンピュータのアルゴリズムではなく、物理システムに置き換えて組み合わせ最適化問題を解くという基本的な考え方は同じ。違うのはD-Waveは超伝導量子デバイスをスピンとして利用するのに対し、量子ニューラルネットワークはレーザ光の位相を使う。その原理の違いから、D-Waveは動作にミリケルビンレベルの超低温環境が必要で、超高真空環境を作る必要もある。

CMOSアニーリング

 日立製作所が2015年に公表した組み合わせ最適化問題解決のための技術。CMOS半導体回路により、常温、低電力で高速に近似解を求めることができる。

「量子ニューラルネットワーク」との関連は?

 上記D-Waveと同様に基本的な原理は同じ。ただしCMOSアニーリングはスピンやレーザ光位相ではなくメモリの0、1情報を利用する。

グラフ理論

 ノード(点、頂点)と、それを結ぶエッジ(辺)とで構成される、ネットワークや鉄道路線のようなものがグラフと呼ばれ、その性質を研究するのがグラフ理論である。巡回セールスマン問題やMax cut問題はグラフ理論に基づく典型的な問題だ。ノードやエッジに「重み付け」を付して最適経路を求めるようなグラフ問題解決の基礎になる。ネットワークや各種ビジネス、社会インフラなどの設計には欠かせない。

「量子ニューラルネットワーク」との関連は?

 組み合わせ最適化問題はグラフ理論の一部。ノードやエッジが多くて厳密な解が現実的には求められない場合でも、量子ニューラルネットワークを用いた計算では、短時間に近似解を求められる。

前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る