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中堅中小企業における無線LAN導入の最適解IT導入完全ガイド(2/3 ページ)

広く普及している無線LANだが、IT専任者が不在の中堅中小企業では管理面のハードルが高い場面もある。無線LANの運用負担を軽減する機能や仕組みを紹介しよう。

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中堅中小企業に求められる簡単・シンプル運用のススメ

 ここでは、中堅中小企業が無線LANを導入する際に求められるシンプルな運用に役立つ機能や仕組みについて見ていきたい。そもそも社内に情報システムの専任者がいない企業も多いため、できる限り負担なく無線LANを使いたいところだろう。

 初期値として設定されているSSIDやハードウェアが持つシリアル番号をキーにAPに接続し、Webブラウザを経由して簡単に設定できるような仕組みが実装されている。複数台のAPを展開する際に、最初の1台だけ設定しておくだけでconfig情報が他のAPへ容易に展開できる製品もあれば、クラウド上の管理コンソールに対して簡単な手順で設定するだけですぐに活用できるようになる製品もある。現場にわざわざ管理者が出向いて設定する必要はないわけだ。

 これは初めて設置する際もそうだが、何か故障が発生した際にも代替機を手配し、それを現場に送るだけですぐに使える環境にセッティングできるようになる。初期導入が容易なだけでなく保守性も高まるため、IT専任者がいない企業にはありがたいはずだ。

GUIの見やすさ

 無線空間で通信のやりとりが行われる無線LANだけに、無線の状態がいかに可視化できるようになっているかは運用上大切なポイントになってくる。システムに詳しい専任者であればいざ知らず、他の業務と兼任している場合は専門的な解析も難しく、すぐに状態把握できるものが望ましい。例えばどのAPと接続しているのか、ユーザーごとのアクセス状態はどうなっているのか、どの位置で利用しているのかなど、グラフィカルな形でそれぞれがすぐに把握できるのがの理想的だろう。他にも、何か起こったときに状態が解析しやすいかどうかも、運用に負担をかけない仕組みといえる。

無線LAN環境の自動最適化

 無線LANを利用する現場では、外的な要因も含めて日々無線環境が変化する。外部から持ち込まれたものが干渉源になったり外部に設置されたAPとのチャネル調整が必要だったりなど、本来であれば無線の状態に応じて管理者がチャネルの変更や信号強度の調整、干渉源対策などを行う必要がある。

 しかし、それでは運用管理に多くの手間がかかるため、できれば自動化したいところだろう。製品によっては、パフォーマンスの低下したAPに接続する端末を切り替えたり、無線の利用状況に応じて動的に負荷分散したりといった機能を持ったものもある。

できる限りのセルフサービス化

 無線LANの管理負担が大きくなりがちなのは、無線LANにうまく接続できないといった問い合わせ対応だろう。初期設定はもちろんだが、現場主導で購入した新しいデバイスを接続する際の手順が知りたい、オフィスに訪れたお客さんにゲストIDなどを発番して利用できるようにしたいといった問い合わせは起こりやすく、無線LANの設定を専門に手掛けていない兼任者からすると、その都度方法を調べて伝えるといったことに多くの時間と手間が割かれてしまう。

 そうならないためにも、例えば初期の接続設定やゲストID発行、端末への証明書発行および設定などが利用者自身の手でセルフサービス化できるものが便利だ。例えば、事前に登録されていない端末がAPのSSIDにアクセスすると、認証用のWebサイトへ自動的にリダイレクトされ、そこでユーザー名やパスワードを入れるだけで適切なアクセス権が設定された状態でネットワークに接続できるようになるといった機能があれば、管理者の手を煩わせることもない。

コラム:特定の運用に特化した機能

 例えば店舗を運営しているような小売業では、最近マーケティングの観点からFacebookを利用する機会も増えていることだろう。そこで、店舗に訪れたユーザーのFacebookアカウントを利用し、フリーWi-Fiにチェックインできる「Facebook Wi-Fi」を実装したいというケースが増えている。

 要するに、店舗のページにチェックインしてもらう代わりにゲストとしてWi-Fiが利用できるというもので、ページの閲覧数を増やすことで宣伝効果につながるものだ。わざわざユーザーIDなどを入力する必要がないため、効率よく無線LANを活用してもらいながら自社をアピールすることができるようになる。こういった業務個別の機能にも注目してもらいたい。

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