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ワークスタイルの変革状況(2017年)/前編IT担当者300人に聞きました(3/3 ページ)

キーマンズネット会員426人を対象にアンケート調査を実施した。働き方改革の進み具合や目的などの実態が明らかになった。

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ワークスタイル変革が進まない理由は、ノウハウ不足の他、経営者の心理的抵抗も

 次に、「職場でのワークスタイル変革への取り組み状況」について、「変革へのニーズを感じているが、取り組みを実施する段階には至っていない」「変革へのニーズを感じており、過去に取り組みを検討したが断念した」「変革へのニーズはなく、実施する予定もない」とした回答者(n=227)に、「ワークスタイル変革が進まない理由(複数回答)」を聞いた。

 全体では、「社内にノウハウがない(48.5%)」「人事労務に関する懸念が払拭(ふっしょく)できない(41.9%)」「投資コストに効果が見合わない(39.2%)」「経営者に心理的抵抗がある(36.1%)」「セキュリティ面の懸念が払拭(ふっしょく)できない(26.4%)」「従業員に心理的抵抗がある(18.1%)」の順となった。

 最も多かった「社内にノウハウがない」の裏側には、リモートワークなどを導入しても労働時間の把握や、業績評価などがきちんとできるのかといった懸念があるのではないだろうか。もしそうならば、この点が「人事労務に関する懸念が払拭(ふっしょく)できない」が二番手にきていることの背景にあると考えられる。

ワークスタイル変革が進まない理由(複数回答)
図5 ワークスタイル変革が進まない理由(複数回答)

 そこで最後に、「人事労務に関する懸念が払拭(ふっしょく)できない」とした回答者(n=95)に「人事労務面での課題」として当てはまるものを選んでもらった(複数回答)。

 結果は、「業務管理の方法が確立していない(82.1%)」「時間管理の方法が確立していない(69.5%)」「評価が困難である(68.4%)」の順となり、業務管理・時間管理・評価が三大懸念であることが分かった。

 先ほどの「ワークスタイル変革が進まない理由」として、約4分の1の回答者が「セキュリティ面の懸念」を選んでいたが、これも業務管理の1つの要件であろう。

 実際、「セキュリティ上の懸念」に関するフリーコメントを見てみると、「社内のデータはお客さまからのデータであり、セキュリティ上の懸念となるインターネット経由での作業を望まない。また、個人所有の端末のセキュリティレベルもまちまちなため、安全性が保障できない」「取引先からの情報管理体制・施策の要求が、在宅勤務と相いれない」「仕事を社外に持ち出す時の安全性の確保ができない」「働き方改革の中で、個人情報の取り扱いをしっかりセーブできるか疑問」といった意見が挙がっている。

 見方を変えると、自社のワークスタイルを変革したくても、お客さまからの要望がこれを許さない、という企業なり部門なりが確実に存在する、ということだ。と同時に、本アンケートの回答者の約6割は、情報システム部門で主に導入・検討や運用に関わる立場やベンダー・SIerとしての立場であり、その多くが働き方改革を推進しづらい、あるいは働き方改革の対象外とならざるを得ない立場に置かれていると推察される。

 このように「働き方改革(ワークスタイル変革)」を推進するならば、同じ会社内にワークスタイルが真逆の二層を生み出してしまう(生み出さざるを得ない)覚悟が必要なのかもしれない。

人事労務面での課題(複数回答)
図6 人事労務面での課題(複数回答)

 前編では主に「各部門におけるワークスタイル変革に関するニーズの有無」および「回答者自身のワークスタイル変革に対する考え」「ワークスタイル変革の目的」「ワークスタイル変革が進まない理由」と「具体的な人事労務上の課題」をレポートした。

 後編では、より具体的な取り組みとして、「ワークスタイル変革に関連した組織のルール作り、仕組み作りで実施・検討中のもの」「ワークスタイル変革に関連するITツールやソリューションの導入状況」を、また「働き方改革の方針やガイドライン、他社の取り組み事例」などに関するフリーコメントも詳しく紹介する予定だ。

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