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ようやく登場した「Bluetooth 5」で何が変わるのか?5分で分かる最新キーワード解説(2/4 ページ)

約7年ぶりのメジャーバージョンアップとなったBluetooth。データレートが2倍、エリアが4倍となる新たな規格の動向やいかに。

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「通信エリア4倍」の意味は?

 無線を利用した通信では、通信速度と消費電力、到達距離はそれぞれトレードオフの関係にある。到達距離は送信電波の強度に依存し、Bluetoothでは用途によって3つの電波強度が「クラス/Class」として分類されている。

 Class 1は送信出力100ミリワットで到達距離は100メートル、Class 2は2.5ミリワットで10メートル、Class 3 は1ミリワットで1メートルというのが目安で、この最大到達距離100メートルが400メートルに伸びるというのがBluetooth 5の1つの目玉仕様である。

 しかし送信出力を大きくすることは低消費電力化に反するので、これは行われていない。何をしたかというと、送信するデータにエラー訂正コードを追加したのだ。これにより、遠くの地点まで飛ぶ間に減衰し、雑音や干渉で品質が悪くなったデータでも、ある程度までは回復できるようになる。

 つまり、より遠くの地点まで正常に通信できるというわけだ。訂正コードの分だけ送信できる中身のデータは減るので、データレートは低くなる。コーディングの方式は「S=8」または「S=2」(Sはデータ1ビットを送るためのシンボル(無線信号)の数のこと)の2つが用意されており、それぞれの正味のデータレートは500kbps、125kbpsである。

 ここでBluetooth 5の物理層(PHY)のデータレートに関する仕様をまとめると、次の3つとなる。

Bluetooth 5の物理層(PHY)の3つの方式
表1 Bluetooth 5の物理層(PHY)の3つの方式(出典:アンリツ)

 エラー訂正技術を前提に「通信エリア4倍」を達成したわけだが、それでも必ず半径400メートルエリアで通信可能というわけではない。Bluetoothが使用する2.4GHz帯の電波は障害物を回折しにくく干渉する電波発生源も多い弱点があり、使用環境によって電波の到達距離は大きく変わる。理想的な条件を整えた上での実験では1キロでの通信成功例も報道されているが、現実的には200〜300メートル程度のイメージで考えた方が良いというのが専門家の意見だ。

「ブロードキャスト通信容量8倍」の意味は?

 もう1つの目玉仕様がブロードキャスト通信容量の増大だ。BLEの身近な応用例にビーコンがある。これは送信機の識別情報を常時あるいは定期的に、一方的に送信(ブロードキャスト)するものだ。現在は主にスマートフォンOSの機能により、その信号が対応アプリに通知され、アプリの処理により各種のサービス(位置情報の取得や追跡、クーポンなどの情報プッシュ通知など)が行えるようになっている。

 ビーコンが発するブロードキャスト情報量を従来の8倍(255オクテットまで)にできるのがBluetooth 5だ。アドバタイジングチャネルをこれまでよりも効率的に使用して、識別情報以上のリッチな情報をブロードキャストできるようにした。これにより以前に比べても豊富な情報を利用した効果的なサービスが実現する可能性が増えた。

 もちろん用途はビーコンシステムだけではない。今までよりも多くの情報を、周辺数百メートルの範囲にあるデバイスに一斉に送ることができるという進化は、メッシュネットワークを形成しやすくする。デバイスがデータをコネクションレスで受け取り、さらに別のデバイスに中継するメッシュネットワークでは、通信エリアがさらに大きく拡張可能だ。

 メッシュに参加するデバイス間は数百メートル離れていても良いので、実用的なホップ数で数キロから数十キロの範囲をカバー可能になるのではないかといわれている。メッシュネットワークを先にサポートしていたZigbeeやZ-Wave、Wi-SUNの領域に、Bluetooth 5が新たな選択肢として本格的に加わることになる。とはいえ、例えばスマートメーターに適用できるかといえば、まだ不十分なことは否めない。メッシュ機能については次のバージョンでさらに強化されると予想されている。

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