出張を厳密に管理する「出張管理サービス」とは何か(1/4 ページ)
もう架空請求ができない。今どこにいるかもバレる。コンカーとJTB-CWTによる出張管理サービスとは何か。
グローバルでBTM(Business Travel Management)サービスを提供しているConcur Technologiesの日本法人、コンカーは3月10日、JTBビジネストラベルソリューションズ(以下、JTB-CWT)との業務提携を発表した。目的は日本企業に向けたBTMの最適化を通した普及促進。ITによる合理化・効率化に取り残されてきた大きなコスト要因である出張プロセスを高度に管理、コスト最適化と業務効率改善を可能にする。
Concur Technologiesは出張・経費統合管理SaaSでグローバルシェア61%(Fortune500における浸透率)、3万5000社、4500万人の利用者を誇る。日本法人であるコンカーは2011年に設立、経費精算サービスでは国内シェア53%(出典:ITR『ERP市場2015(国内経費精算市場動向)ベンダー別売り上げ』)、2016年に本格リリースした「Concur Travel」は既に国内各業界最大手級企業を含む11社の導入実績がある。
一方のJTB-CWTはJTBと世界最大手ビジネス旅行専門会社Carlson Wagonlit Travel(CWT)との合弁会社。BTMにいち早く取り組み、現在650社以上とサービスの包括契約を結ぶ国内の代表的BTMサービサーである。
今回の業務提携により、米国と日本のBTMリーディングベンダーのサービスが融合し、海外出張・国内出張の両面で関連業務プロセスの合理化/効率化、費用の最適化、ガバナンス強化を目指す有力な選択肢が生まれた。
日本の出張業務の変革を通してBTMの「夜明け」を目指す
「日本企業の出張業務を変革し、夜明けをもたらす」と高らかに宣言したのはコンカー社長の三村真宗氏だ。「日本の出張費用は国内・海外出張ともに適正化の余地があると問題意識を持つ企業が過半を占めている(図1)。また社内規定違反やカラ出張などのコンプライアンス上の問題も大きい(図2)」。
「出張のあるべき姿と実情にギャップがある」とする三村氏は、次の5つの軸で改善が必要と説く。
- ガバナンス:ルール違反・例外が頻発し、管理職のチェックが行き届かない
- コスト:高額なチケットやホテル予約が横行する
- 生産性:予約と精算の手続きが煩雑、面倒で高コスト
- 危機管理:テロリズムや災害などの緊急事態への対応が電話とメール頼みで不十分
- 可視化:従業員の出張状況、宿泊・移動場所が簡単に把握できず、誰がどこにいるか分からない
「欧米では出張管理は経営テーマ。統制は当然と考えられ、IT基盤を利用して高度に最適化できているのに対し、日本企業は旅行会社への丸投げが多く、ほぼ放置状態。人手に依存した業務が続いている」(三村氏)。旧弊をIT基盤により改善・改革する必要を強調した。基盤となるのは「パーフェクトトリップ・ネットワーク構想」である。
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