日本企業も注目する「Hyperledger Fabric」とは何か(1/4 ページ)
世界的なIT企業や製造業だけでなく、日本の大手金融機関やSIerも注目するオープンソースの分散台帳ソフトウェア開発プロジェクトが日本で始めて「Meetup」を開催。最新の動向を追う。まずは基礎情報を整理しよう。
ブロックチェーン/分散型台帳技術(説明は後述)のオープンソースソフトウェアを開発する取り組みである「Hyperledgerプロジェクト」のメンバーが、2017年3月16日にイベント「第1回 Hyperledger Tokyo Meetup」 を開催した。本稿ではHyperledgerプロジェクトの最新状況、そして注目が集まる「Hyperledger Fabric」のブロックチェーン技術としての位置付けを見ていくことにしたい。
MeetupではHyperledgerプロジェクトの全体像を日立製作所の長稔也氏が紹介した。長氏は、唯一の日本在住Hyperledgerプロジェクト ボードメンバーである。Hyperledger Meetup自体は、世界全体で38回、のべ8600人の参加実績がある。今回のイベントは日本初のMeetupだ。
このHyperledgerプロジェクトには、IBM、アクセンチュアのようなグローバル企業はもちろん、日立製作所、富士通、NEC、NTTデータなど日本の大手ITベンダーや、製造業大手のエアバスとダイムラーといった製造業大手も参加していることから、IT業界だけでなく産業界からも注目度が高い。
このイベントで筆者が特に注目した最新情報は次の3点だ。
- リリース間近の「Hyperledger Fabric v1.0」に関する最新情報
- Hyperledgerプロジェクトに関連した開発ツール整備(ここでは、IBMが進める「Composer」と、富士通が進める「Fabric-Java SDK」)
- システム構築大手におけるブロックチェーン技術検証の成果
とはいえ個別の話題は専門性が高いため、詳細は後編で説明するとして、まずはHyperledgerプロジェクトの概要から紹介したい。
Hyperledger=複数のブロックチェーン/分散型台帳技術の集合体
Hyperledgerプロジェクトは、Linux OSおよび周辺技術の保護や標準化などを行う非営利組織「Linux Foundation」のプロジェクトとして2016年2月から活動、複数のブロックチェーン/分散型台帳技術に関するOSS(オープンソースソフトウェア)を推進する運営の枠組みを提供している。
プロジェクトに参加するOSSは3種類、参加企業は今後も増加
Hyperledgerプロジェクトに参加するOSSのブロックチェーン/分散型台帳技術には現在、以下の3種類がある。
- IBMが開発、公開したコードを基にした「Hyperledger Fabric」
- ソラミツが開発した「Iroha」
- Intelが開発した「Sawtooth Lake」
上記3つに加え、R3 CEVが開発する「Corda」もプロジェクトに参加する方向で検討中だ。その中でも、エンタープライズシステム構築基盤として話題に上る回数が多いのは、今のところ(1)Hyperledger Fabricである。
Hyperledgerプロジェクトに賛同する「プレミアメンバー」には、IBM、アクセンチュアのようなグローバル企業だけでなく、日立製作所、富士通、NEC、NTTデータなど日本の大手ITベンダーも参加している。この他、製造業大手のエアバスとダイムラーが参加しているのも注目すべき点だろう。
「名前は明かせないがインパクトのあるメンバーがプロジェクトに参加する予定がある。日本のユーザー企業にもぜひ参画してもらいたい」と長氏は述べた。
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