AIは仕事を奪わない? 富士通のAIがつくる未来のかたち(2/2 ページ)
膨大なデータの処理や制御を行うためにAIの技術は不可欠である。富士通が志向するAIは「人に寄り添う」というコンセプトを掲げている。果たしてその真意とは?
コールセンター向けの自動応答システムにAIを活用
では、実際にZinraiの機能を活用したZinraiプラットフォームサービスには、どのようなものがあるのだろうか。富士通は、その1例として、コールセンター向け自動応答システムを紹介した。
昨今、AIの活用シーンは、コールセンター、モビリティ、ナレッジ活用、ものづくり、ヘルスケア、Fintechなど多岐にわたるが、中でもAIの技術が即効性を持つ分野の1つがコールセンターである。
「現在のAI技術のレベルで、人手不足や教育コストの増大といったコールセンターの抱える課題を解決できる」と話す谷口氏。実際、Zinraiに関する商談の20%がコールセンターにかかわる案件であり、AIを用いた課題解決への期待が大きい分野だというのがうかがえる。
今回発表した、コールセンター向け自動応答サービス「FUJITSU Business Application Operational Data Management&Analytics(ODMA)デジタルエージェント for コールセンター」(以下、ODMAデジタルエージェントforコールセンター)は、コールセンターに寄せられる利用者からの問い合わせに、AIがチャット形式で自動応答するクラウドサービスだ。
その特徴は、コールセンターに寄せられた問い合わせの入力文を高精度に理解し、的確な回答を導き出せることや、自然な対話ができることだ。ではなぜこのようなことが可能になったのだろうか。2つの要因が挙げられる。
1つは、富士通研究所が開発した業務指向型対話技術を搭載し、顧客の話し言葉による入力も適切に理解できることだ。もう1つは、富士通のコールセンターの協力を得て、熟練オペレーターが培ってきた顧客対応のノウハウや話法をあらかじめ学習した状態で提供することである。Zinraiは、企業内に蓄積された問い合わせの対応ナレッジやFAQ、また対話履歴における自然な対話を学習することで、応対のためのシナリオを準備することなく自動応答の品質を継続的に向上できる。
ODMAデジタルエージェントforコールセンターは、2017年度第2半期より、富士通クライアントコンピューティングのサポート窓口において運用開始予定だ。また、2020年までに、250社への導入を目指している。
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