世の中は「Microsoft Office」だけではない クラウドで変わるOfficeスイート勢力図:クラウド時代のOfficeスイート選定術(1/2 ページ)
「Officeスイート」イコール「Microsoft Office」の時代ではなくなった。目まぐるしく変わるITの世界ではMicrosoftだけでないサービスが勢力図を変えつつある。まずは現段階のサービス群を整理してみる。
「Officeスイート」と聞くと、会社で働いた経験がある人ならMicrosoftの「Microsoft Office」を思い浮かべる人が少なくないだろう。それくらいOfficeスイート分野でMicrosoftのシェアは大きい。
しかし、ITの技術は目まぐるしく変化を続けている。10年前の世の中では、Appleの「iPhone」やGoogleの「Android」端末など、スマートデバイスが仕事や生活にここまで浸透すると予想できた人はいなかっただろう。その変化の波は、Officeスイートの代名詞でもあるMicrosoft Officeにも同様に及んでいる。
本連載は、会社のクライアントPCに欠かすことのできないOfficeスイートについて解説する。第1回である今回は、これまでのOfficeスイートの動向と、今まさに変化のターニングポイントとなっているSaaS(Software as a Service)への流れについて紹介する。
パッケージソフトのシェア
クライアントPCが職場や一般家庭に広く普及した1990年代後半は、MicrosoftのOSである「Windows 95」のリリースとともに、当時のMicrosoft Officeである「Microsoft Office for Windows 95」をバンドルしたクライアントPCが大量に供給された。これにより、会社のクライアントPCにMicrosoft Officeがインストールされることが増え、「Microsoft Excel」は数値を多様に加工できる表計算ソフトの代名詞となり、「Microsoft Word」は文字を装飾加工できる文章作成ソフトの代名詞となった。
その結果、Microsoft OfficeはOfficeスイートにおける市場シェアを大きく伸ばし、市場のデファクトスタンダードになったのである。
もちろん、Microsoft製ではないOfficeスイートは以前からあり、そして現在も販売されている。有名な製品としては、下記が挙げられる。
- IBM「Lotus SuperOffice」(1993年国内販売開始)
- Kingsoft(金山軟件)「Kingsoft Office(海外名:WPS Office)」(2007年国内販売開始)
- ジャストシステム「JUST Office(旧名: JUST Suite)」(2007年販売開始)
特に、現在も販売されておりMicrosoft Office以外の選択肢として国内で挙げられるケースの多いのがKingsoft OfficeとJUST Officeだ。Microsoft Officeよりもライセンス価格が比較的安価でありながら、ユーザーインタフェース(UI)はMicrosoft Officeとほとんど変わらないという特徴を持つ。
これらのOfficeスイートで注目すべき点は、Microsoft Office形式のファイルへの変換機能を持つことだ。こうした機能を持つOfficeスイートを「Microsoft Office互換Officeスイート」と呼ぶこともある。
取引先企業やビジネスパートナーの多くがMicrosoft Officeを使っていたために、情報のやりとりがしやすいようにMicrosoft Officeを使用してきた企業は少なくないだろう。だがMicrosoft Office互換Officeスイートを使えば、Microsoft Officeがなくても対外的なファイルのやりとりに困らなくなる。
Microsoft Officeやその互換Officeスイートはこれまで、クライアントPCにインストールして使う「パッケージソフト」として提供されてきた。だが昨今のクラウド技術の向上により、その流れが変わってきた。
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