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買収による業界再編は? 2017年複合機市場の着地点すご腕アナリスト市場予測(3/3 ページ)

業界再編の兆しもある複合機市場だが、ベンダー動向を整理しつつ、複合機ビジネスの今を詳しく概観する。複合機の未来はどうなる?

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 ここで、複合機の製品的なトレンドについても押さえておきたい。ここでは、日本国内で展開されている複合機の技術動向について、注目されるものを幾つか紹介しておこう。

レーザー市場に飛び込むインクジェット技術

 もともとインクジェット技術でコンシューマー市場に大きなシェアを持っているセイコーエプソンだが、以前から得意のインクジェット技術を応用し、法人向けの複合機市場に参入してきた。

 その中で2017年2月に発表されたインクジェット方式の複合機は、従来とは異なる高速な印刷が可能なモデルとして注目されており、この製品を「超高速複合機」と銘打って紹介しているメディアもある。最高で毎分100枚という高速で印刷可能な技術を実装しており、50〜70枚前後が高速機として普及しているレーザー方式と比べても、その印刷速度の速さがご理解いただけるだろう。

 もともとインクジェット方式では、インクを直接用紙に吹きつけるのヘッドサイズが小さく、紙面を何度も往復させる必要があり、印刷に時間がかかっていた。今回の新技術では、ヘッド部分を紙幅いっぱいに広げることで一気に吹きつけることが可能になり、従来よりも印刷時間を大幅に短縮することに成功している。

 このインクジェット方式については、実際にはHPやキヤノンも技術を持っているが、レーザー方式でのシェアが大きなキヤノンがどこまでこの市場に参入してくるかは未知数だ。逆にHPはこれまでレーザープリンタはOEM供給を受けてきたこともあり、インクジェット方式へ注力する可能性はある。

 ただし、ドラムが駆動するレーザーに比べて紙送りの機構がシンプルなインクジェットの方がメンテナンス性に優れている部分はあるが、インクジェットはレーザーに比べてにじみやすくて裏写りを心配する声や、印刷速度が遅いといったイメージがいまだに残っている。現状のレーザー方式に大きな不満が聞こえてこない状況の中で、どこまで法人向けのマーケットに広がっていくのか、注目したい。

エッジコンピューティングとしての進化

 複合機ベンダーの中でも積極的にチャレンジしている印象を持つのがコニカミノルタだ。2017年4月に日本で発表された「Workplace Hub」と呼ばれる複合機は、リアルタイム処理が可能なデバイスを組み込んだエッジIoTプラットフォームとして位置付けられており、サーバラック搭載型やスタンドアロンタイプの製品も提供していく計画となっている。

 この新製品は日本HPと協業してハードウェアの開発が行われており、クラウド側で処理する手前のエッジ側で、さまざまな処理を行う新たなコンピューティングノードとして注目されている。

 ただし、具体的にどんな用途に活用するのかという部分ではさらに踏み込んだ提案が必要となってくるはずで、既にAPIを活用して複合機上でさまざまな処理が実装できる既存の複合機と何が変わってくるのかが現時点では判断が難しい。それでも、エッジコンピューティングのデバイスとして複合機を定義づけ、会社としてIoT事業に大きく舵を切った同社の挑戦には目が離せないところだ。

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