急成長の「SmartHR」はなぜ入退室管理にスマートロックを選んだか:事例で学ぶ!業務改善のヒント(1/4 ページ)
検討1日、設置1時間。スマートフォンのBluetooth/NFCを使って施錠・解錠する「スマートロック」を選んだ理由は?
もしかすると「物理的な鍵」は、管理が煩雑で、時として巨大なリスクになったり、入退出管理システム全てに影響する面倒な存在だったりするのかもしれない――。近年、スマートフォンや「Suica」などのICカードを使って施錠・解錠ができる「スマートロック」がにわかに注目を集めている。「ただの施錠アプリ」「スマホがあるから、取りあえずやってみた」というわけではなく、入退出管理や従業員管理、オフィスセキュリティの仕組みを大きく変えるポテンシャルを持っているようだ。
ISMS認証に向けてスマートな入退室管理を探す
社会保険や雇用保険の手続きを自動化するクラウドサービス「SmartHR」を展開するSmartHR(旧KUHU)。「テクノロジーと創意工夫で社会構造をハックする」をモットーに2013年に創業した同社は、面倒な労務管理をシンプルに自動化できるユニークさが受け、クラウド労務サービス分野をけん引する企業に成長している。キーマンズネットでも、導入企業の事例を紹介した。
急成長を続ける同社が抱えていた課題の1つが「セキュリティ認証の取得に伴う入退室の管理」だった。同社では、早い段階からセキュリティ認証の1つであるISMS(情報セキュリティマネジメントシステム、ISO/IEC 27001、JIS Q 27001)認証の取得を目指していた。こうした認証を取得していることを示せると、新規取引先との事前確認などの行程が効率化できるため、事業を成長させる上で、各種認証の取得は必須だったという。
例えばISMS認証では、取得要件の1つとして、オフィス内で機密性の高い情報を扱うエリアを特定し、そのエリアへの入退室を適切に記録することが求められる。
ISMS認証では一律の基準があるわけではなく、入退室を記録すればよいので、もっとも原始的な方法はであれば、「誰がいつ入室したか」をあとから確認できるよう、紙に記録すれば十分ではある。実際には、タイムカードへの印字やICカードの履歴を使った管理方法も多いだろう。この他、サーバ上に電子データとして記録を保管することもできる。SmartHRのカスタマーサクセス担当執行役員である高橋昌臣氏は、当時の様子をこう振り返る。
「会社を設立してすぐに人員が3人から7人へと増え、1年もたたないうちに数十人規模に拡大することが見込まれました。人員が増えると入退室管理の負担は大きくなります。ISMS認証に対応していながら、紙やICカードに代わるもっとスマートな入退室管理ができないか検討しました。そんななか出会ったのが『Akerun』です」(高橋氏)
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