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一度諦めた人のためのSFA(営業支援システム)入門IT導入完全ガイド(1/3 ページ)

SFAはなぜ定着しないのか――普及期に入ったSFAでは成功事例だけでなく失敗事例のノウハウも蓄積されつつある。「あのとき、あなたはどうすればよかったのか」について、定着コンサルタントらの意見を整理する。

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 導入したはいいものの、どうにも定着しない――SFAは数ある業務支援システムのうちでも、導入担当者と現場のミスマッチが発生しやすいといわれる。定着させるためには選定段階からの意識改革が重要だ。なぜ、使われないSFAが出来上がってしまうのか、その反省と回避策を紹介する。

なぜ「営業現場で使われないSFA」はなくならないのか?

 SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は1990年代半ばに登場した、比較的歴史が古いITソリューションだ。当初はそのコンセプトにひかれた多くの大企業が、率先してSFAのパッケージ製品を導入したり、自社でSFAシステムを開発してきた。加えて、2000年代後半からクラウドサービスとしてSFAアプリケーションの機能を提供するSalesforce.comが大きな成功を収めたことで、これまでコストや人員の不足からSFA導入に二の足を踏んできた中堅・中小企業の中にも、SFAに積極的に取り組む例が増えてきた。営業部門の業務もIT化によって改革が進むかと思われたが、事態はそう簡単ではない。

 キーマンズネット編集部が2016年5月に実施した「SFAの導入状況に関するアンケート調査」では、過去3年間でSFAの導入企業は倍増しているという結果が出ている。その一方で、既にSFAを導入した企業の約3分の1が「導入したものの、有効活用できていない」と回答している。その理由として多く挙がったのが、「現場になかなか定着しない」というものだ(前編「SFAは『営業支援機能の比較』だけで選んではいけない」参照)。

 「せっかく高いお金と長い時間をかけて導入した業務アプリケーションが、結局は業務現場で使われることなく早々に形骸化してしまった」――これは決してSFAに限らず、多くの業務アプリケーションで見られる典型的な導入失敗例だ。しかし、SFAはその特徴故に、他の業務アプリケーションと比べ、より現場に定着しにくい。というのも、通常の情報システムと同じように情報システム部門が主導する導入プロジェクトでは、営業部門が当事者として参加する機会が少なくなりがちで、機能の「○×表」比較やRFP作成が優先されるケースが少なくないからだ。実際に利用する営業部門が簡単なレビューしかしていない状態で選定するという間違いを犯しやすい。

図1 SFAなどの業務部門向けシステムの検討〜選定は他のITシステムとは異なる
図1 SFAなどの業務部門向けシステムの検討〜選定は他のITシステムとは異なる(出典:ソフトブレーン)

 そのためSFAの導入を検討する際には、当初から「いかに現場を巻き込み、定着させるか」という視点が欠かせない。

現場の営業担当者全員の協力が不可欠

 SFAがなかなか現場に定着しない理由の1つは、データ入力の方法にある。多くの業務アプリケーションでは、出力情報が多くのユーザー間で共有されることはあっても、データの入力は限られた一部の担当者のみが行うことが多い。

 しかし、日々の営業活動の状況をリアルタイムに可視化することを目的とするSFAは、現場の営業担当者全員に自身の活動状況をシステムに入力してもらう必要がある。そのため、ただでさえ日々の営業活動で多忙を極める営業担当者にとって、SFAの導入は「余計な作業が増える」とネガティブに捉えられることが多い。

図2 現場営業担当者の「本音」は……
図2 現場営業担当者の「本音」は……(出典:ソフトブレーン)

 加えて、営業担当者のITリテラシーが低い場合にはますますSFAへの入力がおっくうになり、情報がなかなかシステムに集まってこない。結果、導入からしばらくたつと現場での運用が形骸化してしまい、単に紙の日報を電子化しただけの報告システムとしてしか使われなくなってしまう。

 あるいは、それなりにSFAの運用がうまく回っているように見えても、よくよく利用状況を調べてみると「活動状況をきちんと入力しているのは、実は一部の営業担当者だけだった」ということもある。中には、受注できた案件の情報は詳細に入力するものの、自身の評価が下がることを恐れてか、失注した案件の情報は決して入力しないという営業担当者もいると聞く。

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