社員3000人にiPhoneを配った会社のセキュリティ(1/4 ページ)
モバイルデバイスの業務活用が主流となる同時にモバイルデバイスの管理やセキュリティにおける問題が浮上する。社員3000人にiPhoneを貸与したという日本キャタピラーがVMware導入後の効果や課題を話した。
昨今、モバイルデバイスの業務活用が主流となってきた。しかし、同時に浮上するのは、モバイルデバイスの管理やセキュリティにおける問題だ。企業のモバイル向けセキュリティ対策ツールの導入状況は一体どうなっているのだろうか。
VMwareでは、2017年4月5〜7日の3日間、業務でスマートフォンとタブレットを利用している20歳から59歳の男女519人を対象にスマートデバイスの使用状況に関する調査を行った。調査対象者の半数以上がモバイル向けのセキュリティ対策ツールが導入されていない端末を使用しているという結果が出ている(図1)。
今後、テレワーク推進などにより、モバイルデバイスの活用はさらに進むことが予想される。それに伴い、モバイルデバイスに対するセキュリティ対策が必須事項となっていくだろう。こうした市場に向けてVMwareが提供するのが「VMware AirWatch」(以降、AirWatch)だ。AirWatchは、モバイルデバイス管理(MDM)、アプリケーション管理(MAM)、コンテンツ管理(MCM)に加え、Webブラウジング、電子メールなどを包括的に管理するエンタープライズモビリティ管理(EMM)製品と位置付けられる。
2017年7月18日に開催された「VMware Conference2017 Summer」では、AirWatchを2017年に導入した日本キャタピラー ITサービス部主任の安藤美也氏が登壇、いきさつと導入効果について語った。
本稿では、日本キャタピラーがVMwareのモバイル向けセキュリティソリューションである「VMware AirWatch」(以降、AirWatch)を導入した事例について紹介する。従業員全員にiPhoneを貸与しているという同社がいかにして導入までに至ったのか、実際に効果があったのか、ここだけの話、デメリットは何かといったリアルな情報に注目したい。
モバイルデバイスの活用を前進するAirWatch
前述したように、AirWatchが位置するEMM製品は、モバイルデバイス管理(MDM)、アプリケーション管理(MAM)、コンテンツ管理(MCM)の3領域の機能を統合してモバイルデバイスを運用管理するEMMツールだ。あくまでデバイスそのものを管理するツールであるMDMに加え、端末内のアプリケーションやコンテンツの管理を可能にするMAM・MCMの機能も含む。
なぜモバイルデバイスにはこのような包括的管理が必要なのだろうか。これまでは、MDMによって、デバイスの位置情報やアプリのインストール履歴などユーザーの利用状況を把握する他、紛失時にリモートでデータを削除といった対応をすることが主流であった。しかし紛失対策を中心とするMDMだけでは、管理やセキュリティの問題を完璧には解決できない。例えば、デバイス上で使用するアプリケーションのセキュリティはどのように保つのか。企業メールを見る場合、ファイルサーバや社内システムにアクセスする場合のセキュリティはどうするのかといった疑問が浮上する。
MDMによって、モバイルデバイスでは社内システムにアクセスできないようにするなど、機能を厳しく制限することもできるが、これではモバイルデバイス活用のメリットを生かしているとはいえない。あまりに制限が厳しいとセキュリティ対策のされていない私物デバイスの使用を誘発する可能性もある。
利便性を損ねることなく、セキュリティの安全性確保を実現するために生まれたのがEMMであり、AirWatchはその枠組みに位置付けられる。デバイスを一元的に管理できることや、AndroidやiOS、Windows10 mobileといったスマートフォンやタブレット端末だけでなく、Windows10やmacOS、Chrome OSなどのノートPCを含めたデバイスを一元的に管理できること、日本語に対応していることが特徴だ。
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