ウォルマートも導入に乗り出すブロックチェーンは何がうま味か(2/3 ページ)
小売り大手ウォルマートが食品業界横断でブロックチェーンをお試し中。日本でもサプライチェーンでの取引台帳などに期待されており、次の2年で採用が広がる可能性があるという。何がうまみなのか。
日本市場の注力分野は? トレーサビリティーをSCMや電子政府に生かすアイデアも
日本IBM執行役員インダストリー・ソリューション事業開発担当 鶴田規久氏は、ブロックチェーン技術を「新たなインダストリー・プラットフォーム」と説明する。
従来、「各業界が個別に情報を持ち、それらを随時照合する」という、業界に閉じた情報を膨大な手間をかけて連携してきたが、ここにブロックチェーンネットワークを活用することで、データの健全性を保ち、権限などのコントロールを行いながら、産業横断での情報照合や契約、取引を効率化できるためだ。
システムをネットワークとして持つことで、企業や業界ごとに重厚長大な「台帳システム」を抱えなくても、信頼性や権限管理ができ、情報の参照や紹介に掛かるシステム開発や運用のコスト負担も低減できる。
こうしたことから、ブロックチェーン技術には多くの企業が関心を寄せているが、日本IBMでは、特に2018年までに、(1)グローバルでの貿易を含むサプライチェーン管理(SCM)、(2)地方創生、(3)公共サービスの3つの領域での展開に注力する計画だ。
「ドバイやシンガポールなどでは既に貿易取引でのブロックチェーン活用を推進、『Global Trade Digitalization』を構築している。日本IBMであれば、そのアセットを日本国内でもすぐに活用できる。ペーパーレス化やトレードプロセスの可視化も可能になる。地方創生に関していえば、地銀を中心に11の金融機関が参加するブロックチェーン活用コンソーシアムでは地域通貨の実証実験などの取り組みも進んでいる」(鶴田氏)
公共サービスについても、内閣府がまとめた『未来投資戦略2017』で「革新的電子行政の実現」が提言されており、ブロックチェーンを行政・公共サービスの基盤とするトレンドが生まれつつある。これについては、「例えば法人登記、不動産登記、医療情報管理などの領域でブロックチェーン基盤を活用できると考えている」(鶴田氏)という。
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