情報分析基盤を内製したLIXIL、デジタル変革の道のりは「名寄せ」から?(2/4 ページ)
顧客接点を最適化するには5社の顧客を名寄せしなければ始まらない。自社で試行錯誤を繰り返し、内製で新しい「顧客情報分析基盤」を構築したLIXILの狙いを聞いた。
どのように名寄せを検討したか〜顧客コミュニケーションの統合
LIXILでは、基幹業務システムそのものの統合プロジェクトの途上であることもあり、各所に点在する基幹系の業務システムの運用はそのままに、各業務システムからのデータはETLを使って定期的に「情報分析基盤」に取り込んで統合している。
これに加えて、製造ラインに設置されているセンサーから取得するIoTデータ、SNSなどのソーシャルデータも全て情報分析基盤に取り込んでいるという。その際、直近の情報を格納して高速に分析する目的で「SAP HANA」を利用、長期的なデータ基盤としては「Hadoop」や「Hana Vora」などを組み合わせて利用している。
今回登壇した船水氏は、顧客情報の統合と分析環境の構築に向けて、自社内で実施している検証や具体的なナレッジを中心に発表。その成果としてプロジェクトの成果を示してくれた。
船水氏が今取り組んでいるのは情報分析基盤整備プロジェクトのサブプロジェクトである「顧客情報一元化プロジェクト」だ。このプロジェクトでは、既存の各システムが持つ顧客情報について、「データクレンジング」や「名寄せ」を実施する手法の最適解を探索してきたという。
“地味”と思うことなかれ、同社を構成する旧5社が保有してきた顧客資産をどこまで生かせるかに、このプロジェクトの成否に掛かっている。
というのも、同社が展開する各種サービスでは、個別のシステムの顧客コミュニケーションの接触ポイントは複数あるものの、顧客情報のマスターがバラバラに管理されていたことから、せっかくデータを持っているにもかかわらず、横断的な利用ができていないという問題があったからだ。この顧客情報を一元化して、顧客の利便性を高め、社内オペレーションを高度化するのが、このプロジェクトの狙いだ。
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