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アクセンチュアが示すRPA活用戦略【イベントレポート】

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
移管に関する FAQ やお問い合わせは RPA BANKをご利用いただいていた方へのお知らせ をご覧ください。

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RPA BANK

日銀短観で実に“25年半ぶり”の結果が示されるなど、全国的に深刻さを増している人手不足。限られたリソースの中で省力化と生産性向上への関心がかつてなく高まる中、社内業務の可視化・効率化を図るBPM(ビジネスプロセス・マネジメント)プラットフォームや、CRM(顧客関係管理)アプリケーションへの注目度もいっそう増している。これらのソリューションを展開するペガシステムズ株式会社はさる9月28日、都内でカンファレンス「Pega Customer Engagement Summit」を開催。Pega製品の導入支援で多くの実績を持つアクセンチュア株式会社からマネジング・ディレクターの浅井憲一氏が登壇し、人工知能やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などの業務改善への応用についても解説した。テクノロジーへの期待が「先進性」から「人間との融合」に移りつつあるという最新トレンドについても触れられた当日の模様を、ダイジェストで紹介する。

RPA利活用のポイントは「インテリジェンスオートメーション」

RPA利活用のポイントは「インテリジェンスオートメーション」

アクセンチュアのITソリューション開発拠点「北海道デリバリーセンター」のセンター長でもある浅井氏は冒頭、トレーナー資格者らによる専門チームで取り組むPega関連の開発状況を概説。「Pegaが昨年4月にRPAソフトウエアのOpenSpanを買収したこともあり、この1年でRPA導入に携わるケースが一挙に増えた」と述べた上で、顧客企業の業務効率化にあたっては、AIやRPAを一体的・包括的に採り入れる「インテリジェンスオートメーション」のアプローチを重視していることを説明した。

近年のエンタープライズにおけるRPAの急速な普及について浅井氏は「少なくともこの10年で、RPAほど業界横断的に、かつ短期間で広まったテクノロジーはなかった」と強調。「今後は単に個別業務で使うだけにとどまらないRPAの活用例が増える」とも述べ、利用形態の深化も加速していくとの見通しを示した。

定型業務の効率化ツールであるRPAを一層活用していくためのポイントとして浅井氏は、「インテリジェンスオートメーション」の観点からBPMも組み合わせて例外処理もカバーしていく手法を紹介。さらにRPAの導入プロジェクトと並行し、従来の業務手順全体を可視化・標準化して全体最適を図るBPMにも取り組むことで更なる効果を生むことも期待できると説いた。

「特定の作業を自動化しようとしたところ、業務全体でみればもっと効率化できると分かり、初めて業務の可視化や標準化、横断的管理の必要性を実感する顧客は多い。個人的にもRPAの導入にあたっては、Pegaが持つ『ケースマネジメント』の諸機能などを使ってBPMを実践することが重要と感じている。それによって業務をいっそう効率化できるのはもちろん、導入効果の検証も容易になるためだ」(浅井氏)

変化するエンタープライズ分野での技術トレンド

このほか浅井氏は、エンタープライズ分野での技術トレンドについても解説。世界各国の経営層へのヒアリングをもとにアクセンチュアがまとめたレポート「TECHNOLOGY VISION2017」を踏まえて「昨年から今年にかけて、それまでの『デジタル化』という技術的なテーマから『テクノロジーを人のために使う』ことへと関心が変化している。自社の顧客、あるいは従業員という“人”を、どうエンゲージメントしていくかが重要だ」と述べた。

同氏はさらに、こうした動きを読み解く5つの視点(「AI IS THE NEW UI」「ECO SYSREM POWER PLAYS」「WORK FORCE MARKET PLACE」「DESIGN FOR HUMANS」「THE UNCHARTED」)を提示。AIは社内業務の処理にとどまらず、自動音声認識による自然な応対、個人の嗜好を学習した精度の高い提案など、顧客体験を向上させるインターフェースとして重要性が増していくと指摘した。また、顧客接点にテクノロジーを投入することによって、保険会社が契約者の体調をモニタリングする健康管理支援のサービスといったビジネス領域の拡大も見込めるとした。

一方、テクノロジーの恩恵を受ける人間の側に関して浅井氏は、選択肢が増えつつある「働き方」に注目し▽組織の中で一定の役割を担当するフルタイム従業員▽比較的単純なタスクに対応するパートタイム従業員など▽プログラムにアサインする形で随時登用される社内人材▽契約社員などの外部人材▽今後増加が見込まれるクラウドソーシングやフリーランス、という5タイプを列挙。こうした選択肢から随時柔軟に、最適な形態を選択するためにも作業の細分化・標準化を進めていくことが重要だとした。

蓄積と変化を支える“ハブ”が必要

ここ数年の間に長足の進化を遂げたAIは、今なお技術の新陳代謝が激しく、また実用的なAIを開発する上では、機械学習に投入できるデータの「量」と「質」が極めて大きなファクターとなる。業務で用いるツールの陳腐化は避けられない一方、日々蓄積していく情報は、それ自体が財産と言ってよく、この財産を散逸させず、いかに管理するかが企業の命運を左右する時代となっている。

「将来的にデータ処理の核となるAIを高性能なものに交換しても対応できるよう、また機械学習用のデータを繰り返し使用可能な形で保管するためにも、ソリューションの内部には業務プロセスを制御する基盤を組み込んでおくべきだ。人に接するAI、人の判断に寄り添うAIを束ねるハブが必要であり、このハブとなりうるのがPegaだ」と浅井氏。ビジネスの蓄積と変化を支え続けるBPMプラットフォームの意義をあらためて示し、講演を締めくくった。

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