声やウェアラブルも活用、市場に出回り始めた「健康経営支援ソリューション」:IT導入完全ガイド(1/4 ページ)
声の変化で健康状態が分かる時代になった。健康経営を実行する上で利用したいのがウェアラブルデバイスや社員の健康状態、勤務状況などのデータだ。
わが国においては「健康経営」の取り組み自体がまだ盛んとはいえず、健康経営を支援するソリューションも一部の先行ベンダーが提供している状況であった。しかしながら、効果的に健康経営に取り組むには、ITの活用が欠かせない。本稿では続々と登場する新たなソリューションを紹介しよう。
運営までを外出しするBPOサービス「おまかせ健康管理」
健康経営の取り組みを続け、大規模法人部門「健康経営優良法人2017(ホワイト500)」に認定された伊藤忠テクノソリューションズ(略称:CTC)では、自社の取り組みノウハウを反映した健康経営支援ソリューションを展開している。
その1つが、従業員の健康状態の見える化を図る健康管理システム、「おまかせ健康管理」と「HSS(Health Support System:ヘルスサポートシステム)」である。このうち、おまかせ健康管理は、システムと運用サービスがトータルで提供され、CTCが健康経営の運用までをサポートする。初期費用は6万円(税別)で、中堅・中小企業でも導入しやすい価格設定となっている。一方のHSSは、システムだけが必要で運用は自社で行う大企業を想定しており、導入企業ごとにカスタマイズが可能だ。
これらは健診結果、問診結果、保健指導、面談記録などの心と体の経年の健康情報をクラウドで一元的に管理し、従業員の健康管理を総合的に支援するBPO(Business Process Outsourcing)サービスだ。従業員に対するストレスチェックを義務付ける改正労働安全衛生法が2015年12月より施行されているが、このストレスチェック対策をはじめ、定期健診管理業務や長時間労働に対する労務管理の適正化を含めた3つの業務を一元管理することで、人事・労務部門の担当者に代わって、従業員の心と体の健康管理業務を代行する。
企業側は、社員マスター、健診結果、勤務時間のデータを送るだけで、受診結果を法令で定められている期間、安全に保管できる。また年末には、報告用のデータを集計し、報告書の作成を支援。さらに、従業員への定期健診受診案内や未受診者へのフォロー、年1回のストレスチェックWeb問診、長時間労働者への通知やWeb問診を行うとともに、進捗(しんちょく)状況を人事、労務部門の担当者に知らせる。
おまかせ健康管理/HSSの従業員向けの機能では、PCやスマホから健康診断の結果など、自身の健康状態を経年管理できる「マイページ」を提供する。マイページ内のコラムでは、ユーザーごとの健康課題に適した情報が表示され、従業員の健康意識を高める効果がある。
一方、管理者向け画面では、スクリーニングや保健指導の記録保管、メール機能など、豊富な機能を有す。これらの機能により産業保健スタッフの業務を効率化することで、企業の健康経営を支えるデータヘルス基盤を提供するのである。またシステム上で作成した保健指導は、人事・総務担当者と産業保健スタッフ間で共有されるのに加え、本人や所属長などへメールで送ることも可能だ。
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