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“普通の会社”にAmazon級のデータ駆動ビジネス基盤は作れるか?(1/3 ページ)

大手企業ではデジタルビジネス推進を目的にハイスペックIT人材の争奪戦が行われたり、戦略的にIT人材を育成したりという動きが広まっている。普通の会社は彼らにどう立ち向かうべきか。あるベンダーの提案を聞いた。

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デジタル変革といわれても、一般企業にはIT技術動向のキャッチアップすら難しい

 「データドリブン・マーケティング」という言葉を広めたことでも知られるインターネット小売り大手Amazonのように、顧客情報や市場動向、取引傾向分析など、自社データを活用するには、企業の側にも一定の知識やスキルを持つ人材が必要だ。それ故に、最近では業務システムの内製化に踏み切り、IT人材を育成する企業や、ハイスペックなIT人材を招き入れてIT戦略を強化する動きが目立つ。

 ただし、こうした取り組みは、長期的な視点を持って相応の投資を覚悟しなければならないため、全ての企業が簡単に実行できるわけではないだろう。とりわけ、ITの領域は技術革新のスピードが速く、動向をキャッチアップするだけでも相応のノウハウが必要だ。こうしたことから、IT投資の規模に限界がある一般的な企業がデジタル化先進企業に対抗するのは非常に困難だ。

 サイロ化したシステムで個別に集計や加工を施し、時間を掛けてレポートするような「鮮度の悪いデータ」をビジネス判断の根拠とする旧態依然とした仕組みでは、デジタル化に積極的な企業と同じ市場で優位に立つことは難しい――こうした問題に対して、既存の業務システムからデジタルデータ活用基盤までを包括的にカバーし、「単一の製品ポートフォリオ」として提供しようと考えているのがSAPだ。

 ERPパッケージやデータベース基盤を提供するITベンダーとしてのイメージが強いSAPが、普通の企業のためのデータ活用基盤製品に注力する理由はどこにあるのだろうか。

SAP HANAの親戚? SAP Data Hubとは

鈴木正敏氏
鈴木正敏氏

 2017年11月7日、SAPジャパンは「SAP Data Hub」の国内での提供を開始をした。「SAP HANA」や「SAP Vora」に続くビッグデータ基盤製品群にラインアップされる。SAP Voraのデータ処理エンジンとしながら、ビッグデータ基盤が持つデータと、ERPアプリケーションである「S/4 HANA」などの基幹業務システムが持つデータとをつなぎ込んだり、つなぎ込む仕組みそのものを管理していく機能の他、分析データの「出どころ」(データソース)やアクセスポリシー管理といった、データガバナンスに関わる機能も提供する。

 SAPジャパンバイスプレジデントプラットフォーム事業本部長 鈴木正敏氏はSAP Data Hubについて「ビッグデータ利用に必要な機能を包括的に提供できるのが強み」と評価、「業種を問わず、既存のSAPアプリケーションユーザーを中心に、ビッグデータ活用に取り組みたい企業に展開していきたい」としている。

 11月末には、日本ヒューレット・パッカード内の「SAPジャパン協同開発検証センター(COIL)」にデモサイトを設置、「Amazon Web Services」上にもデモ環境を用意する。さらに、12月にはユーザー企業向けの体験型ワークショップやパートナー企業向けのトレーニングを開始する予定だ。

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