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カメラ×AIで何ができる? 専用演算チップを積んだファーウェイの新スマホの実力

スマホのAIといえば「Hey Siri」などの音声アシスタントがおなじみだが、ファーウェイのAIは一味違う。ライカのレンズと連携することで実現する、新機能とは?

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 華為技術日本(ファーウェイ・ジャパン)は2017年11月28日、スマートフォンの最上位モデルとなる「Huawei Mate10 Pro」とミドルレンジの「Huawei Mate10 lite」、10.1インチタンブレットの「Huawei MediaPad M3 Lite 10 wp」を発表した。価格はMate10 Proが8万9800円で、12月1日に発売。Mate10 liteは4万2800円、MediaPad M3 Lite 10 wpは3万7800円で、12月8日に発売する。

Huawei Mate10 Pro
Huawei Mate10 Pro
呉波氏(中央)と、ゲスト登壇したタレントの青木裕子さん(左)、マギーさん(右)
ファーウェイ・ジャパン デバイスプレジデントの呉波氏(中央)とタレントの青木裕子さん(左)、マギーさん(右)

同社初、AI対応のチップセット「Kirin970」を搭載

 Mate10 Proは2016年発売された「Mate9」よりもさらにハイエンドな、同社製スマートフォンの最上位に位置付けられるモデルだ。6インチFHD+(2160×1080ドット)のOLED HDRディスプレイに、Mate9同様ライカ製のダブルレンズを採用する他、チップセットに世界初となるAI対応の「Kirin970」を搭載しているのが大きな特徴だ。

 Kirin970は、2017年9月にドイツ・ベルリンで開催の家電見本市「IFA」で発表されたSoCで、ファーウェイの子会社であるハイシリコンが開発したもの。強力かつ省電力性に優れるCPU(Cortex-A73+Cortex-A53)とGPU(Mali-G71)に加えて、NPU(Neural-network Processing Unit)と呼ばれるニューロネットワークの演算に特化したAIプロセッサを搭載している。

 10月16日にドイツ・ミュンヘンで開催されたグローバルイベントでは、Mate9の後継機種にあたる「Mate10」もあわせて発表されたが、今回日本市場向けにはさらに最上位モデルの「Mate10 Pro」が投入されることになったのも注目すべきポイントの1つ。ファーウェイ・ジャパン デバイスプレジデントの呉 波(ゴ・ハ)氏によれば、「これはスマートフォンに耐水性を求める日本ユーザーのニーズに応えるため」という。Mate10 Proは同社が国内で展開してきたハイエンドスマートフォンでは初となる、IP67等級の耐水&防塵(じん)性能を備えている。

「iPhone8/8Plus」がリリースされた直後のPOSデータのランキングで、同社のスマートフォンがAndroidスマートフォンでは唯一トップ10入りしたことをアピールする呉波氏
「iPhone8/8Plus」がリリースされた直後のPOSデータのランキングで、同社のスマートフォンがAndroidスマートフォンでは唯一トップ10入りしたことをアピールする呉波氏

 近年世界のスマートフォン市場で、急速に存在感を増しているファーウェイ。発表会に登壇した呉氏が冒頭紹介したレポートによれば、同社の2017年第1〜第3四半期までのグローバルでのスマートフォンの出荷台数は、前年同期比19%増の1億1200万台で現在世界第3位。売り上げは前年同期比30%増で、同社ではこの数字について、研究開発への積極的な投資がブランド認知の向上へとつながり、さらには売り上げの増加にもつながっていると分析している。

 日本国内シェアも2016年の5.48%から2017年は8.31%と順調に拡大しており、現在は大手キャリアが販売するスマートフォンも含めて、第4位というポジション。さらにSIMロックフリー市場では第1位となっている他、Androidタブレットでも同じくシェア1位を獲得しているという。「タブレット市場ではほぼ独占状態にある『iPad』に対抗できる、唯一のAndroidタブレット」と呉波氏は強気だ。

 また日本でここまでのシェアを拡大できた理由として、常に消費者の声を重要視しきたことをあげ、自らもSNSなどに寄せられた意見をまとめたレポートに、毎日目を通していると明かした。前述したように今回、日本市場向けにIP67相当の耐水・防塵性能を備えたMate10 Proや、同社初の耐水タブレットとなるMediaPad M3 Lite10 wpを投入するのも、そうしたユーザーの声に応えたものだ。

Huawei Mate10 Pro カラーはミッドナイトブルーとチタニウムグレーの2色
Huawei Mate10 Pro カラーはミッドナイトブルーとチタニウムグレーの2色

 耐水&防塵に加えて、Mate10 Proには新たな機能が多数搭載されている。例えばスマートフォン前面のほぼ全てを占める約6インチ(2160×1080ドット)、18:9の縦長OLEDディスプレイは、サムスンの「Galaxy S8」やアップルの「iPhone X」にも採用されている、最近のスマホのトレンドの1つだ。

 また背面にライカ製のダブルレンズカメラを搭載しているのは前モデルのMate9と同様だが、AIの演算に特化したNPU搭載のチップセットを採用したことにより、これまでにない高速なレスポンスで、より簡単に美しい写真が撮れるようになっている。カメラを向けると被写体を素早く自動認識し、最も適した設定で撮影できるというもので、これは数多くの被写体情報を学習したAIの力を、ローカルで発揮できるようにした新チップセットの成せる技だ。

AI×カメラで撮影モードが瞬時に変わる
AI×カメラで撮影モードが瞬時に変わる

 具体的には、カメラに映った被写体を素早くAIが認識、被写体に合わせた最適な設定でオート撮影ができる。

 実際にタッチ&トライ会場にあった異なる対象物の写真にカメラを向けると、それを認識して撮影モードが一瞬のうちに切り替わるのを確認できた。1億枚以上の写真から機械学習しており、犬と猫の違いも見分けられるという。ただし犬と猫でどうカメラの設定が変わるのかまでは確認できなかった。

 加えて、AI対応のチップセットは電力効率の向上にも大きく貢献する。4000mAhの大容量のバッテリーと合わせて、Mate9と比べて実に30%も電池が長持ちとなっている。また、急速充電についてはドイツのテュフ・ラインランドによる安全認証も取得。このほか4G×4Gの同時待ち受けが可能な「DSDS(Dual SIM/Dual Stand by)」にも対応する。

 同時発表されたMate10 liteはミドルレンジクラスながら、約5.9インチ(2160×1080ドット)、18:9とフルスクリーンのIPS液晶を採用するなど、コストパフォーマンスに優れたモデル。AI対応チップセットやライカレンズこそ搭載していなものの、背面に1600万画素と200万画素、フロントに1300万画素と200万画素という、計4つのレンズを搭載するなど、カメラが特徴的なスマートフォンとなっている。デュアルレンズを使って、背景をぼかしたポートレート写真なども簡単に撮影可能だ。

大画面×ダブルレンズを搭載しがら手頃な価格を実現したMate10 lite
大画面×ダブルレンズを搭載しがら手頃な価格を実現したMate10 lite

 Mate10 Pro同様、ユーザーのニーズに応える耐水・防塵タブレットとして発表されたMediaPad M3 Lite 10 wpは、発売中の「HUAWEI MediaPad M3」の兄弟機にあたる10.1型タブレット(1920 x 1200ドット)。フルセグ/ワンセグチューナーを搭載し、テレビが楽しめるほか、同シリーズ共通のサウンドにもこだわったタブレットとなっている。具体的にはHarman Kardon監修による4つのスピーカーが搭載されていて、映像と一緒に迫力のある音も楽しめる。

Huawei MediaPad M3 Lite10 wp
Huawei MediaPad M3 Lite10 wp 同社初の耐水、防塵対応タブレット

 発表会後、記者の囲み取材に応じた呉波氏は「今後も日本のユーザーのニーズに応える形で、耐水、防塵などの機能を持った製品を優先的に日本市場に投入していく」ことを明らかにした。また、業界再編が進むなど、一時の勢いに衰えが見え始めたともいわれる日本のSIMフリー市場に対しては、「とはいえまだ伸び代があり、2018年は出荷台数が350万台を超えるのではないかとみている」と見方を示し、「コストパフォーマンスに優れるMate10 liteのような製品を投入することで、SIMフリースマートフォンをより身近に感じてもらい、市場の拡大に貢献したい」と語った。

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