LPWAを徹底活用してIoTビジネスを始めるには?:IT導入完全ガイド(5/5 ページ)
LPWAはIoTデバイスからデータを収集するための通信手段として注目を集める。LPWAを活用するためには、どのようにデータをクラウドと連携させ、アプリケーションへと受け渡し、可視化するか。
LTE-Mを使った実証実験
IoTプラットフォームを含め、各社サービスを活用することで、具体的にどのようなことが可能になるのだろうか。以下では、KDDIが2017年9月に通信規格であるLTE-Mを使って行った実証実験の例を紹介する。
これは、ごみの量(かさ)を距離計測で測定する距離センサーを装備したごみ箱を現地4カ所に設置し、ごみ量をほぼリアルタイムにWeb上の監視センターが把握するという仕組みだ。ごみが満杯近くなったら監視センターに自動メールが通知されることを契機に、人が収集センターへと連絡をし、30分以内に回収車が現地で回収するという取り組みである。
この実証実験では通信規格にLTE-Mを利用したことで、より通信料を低コストに、またデバイスを長寿命(=デバイス運用負荷軽減)にできる可能性が具体的に示されたという。他にも各通信規格を使った各社の実証実験例は多く見られ、例えば都市水害対策のために下水道の内水状態を、マンホールに設置した水位計測(距離測位)センサーでモニタリングする実証実験、あるいはテロ対策のためにマンホールに何か危険物が設置されていないかモニタリングする実験、また除雪車の除雪処理状況をGPSによる位置情報のトラッキングにより管理する実証実験などが挙げられる。IoTの仕組みを使ってどのようなことができるかイメージする際には参考にしたい。
以上で見てきたように、事業者によってIoTプラットフォームが目指すところや、サービスとして提供する範囲が異なることが分かるだろう。自社のIoTシステム構築に特化したものや、多くのベンダー、メーカーとともに共有し、連携してサービスを提供するためのハブとして機能するIoTプラットフォームもあり、何を解決したいのか、どんな新しいビジネス、サービスを作りたいのかにより、通信規格も、それを使った通信サービスもプラットフォーム選びも変わる。
まだ確固としたビジネスのイメージが見えていない場合、迷うことは多いと思うが、IoTシステムの稼働開始の最適タイミングに合わせて、目的とコストにフィットしそうな規格を選び、まずは現場での実証実験またはパイロット運用からはじめてみるのが得策だ。
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