出番なし? 対ドローン特殊部隊が解散の理由:446th Lap:金曜Black★ピット
2015年に不審なドローンが首相官邸に飛び込んだことがあったが、国土交通省が飛行ルールを定めたことによって事件はずいぶん減っている。それでも、ドローンとその操縦者がしでかした出来事は時々報道される。
海外でも同様だ。各国で不審ドローン対策が講じられている。その多くは妨害電波で操作を無効化するものだが、操縦不能に陥ったドローンによる事故が懸念される。そこでオランダ警察は「鷹(オオタカ)」による撃退法を打ち出した。物理的に狩ってしまおうというわけだ。
2016年2月に発表されたこのアイデアを覚えている諸兄も多いだろう。あれから2年、鷹は訓練に励んでいたのだが、プロジェクトは解散となった。その理由とは一体?
オランダのニュースメディア「DutchNews.nl」によれば、対ドローン鷹プロジェクト終了の理由は「出番がないため」。
イベントなどで警備のために出動することはあったが、実際にドローンを捕獲する機会はゼロ。2年近くも訓練を重ねたとはいえ、ドローンを捕まえることがなければただの鳥というわけだ。
それどころかエサ代もかかるし、ケージのためのスペースも必要になるしと出費も少なくない。不審ドローンが飛ぶような衆人環視の環境で、鷹が訓練通りの動きをするかどうかも不明であることから、プロジェクトは中止という判断に至ったのだ。
電波を使ったドローン対策も技術的に成熟しつつあり、対象を墜落させることなく追い返したり、操縦権限を奪ったりできるようになった。
実はオランダ警察、ラットにも特殊な訓練を施していたのだが、これも中止に。違法タバコや火薬、死体などを嗅ぎ当てる「生き物探査機」を目指していたのだが、思惑通りに訓練できなかったようだ。
気になるのは引退せざるを得なくなった動物の行方だ。鷹は専用のシェルターへ、ラットは安全な飼育所へと送られたというが、必要のなかった訓練で彼らが抱えたストレスやいかに。
上司X: ドローン対策に訓練されていた鷹がお払い箱という話だよ。
ブラックピット: ひどい言い方をしますね。
上司X: 実際、そういうことだろう? 鷹にしてみたらいい迷惑だったに違いないよ。
ブラックピット: 鷹狩りは昔からある狩猟方法ですし。訓練された鷹ならドローンを狙うことだって苦ではなかったのでは?
上司X: ブンブン飛んでいる機械を捕まえるとなると、心構えが違うだろうな。「えっ? あれ捕まえるの?」って戸惑う様子が見えるようだよ。
ブラックピット: なぜ鷹の心情を代弁するんですか。
上司X: 実際のところ、指向性の強い対ドローン電波銃も開発されているからな。お払い箱なんて言い方しちゃったけど、ドローン鷹にはお疲れさまと言いたいところだ。
ブラックピット: 訓練を担当していた人もタイヘンだったんじゃないですか? 2年近く訓練して一度も活躍しなかったんですからね。
上司X: 意外にホッとしているかもな。少なくともこの2年、ドローン鷹が出動するような危うい事件は起きなかったってことだよ。平和で良かったじゃないか。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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