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キャッシュレス推進の起爆剤「QRコード決済」の可能性すご腕アナリスト市場予測(4/4 ページ)

モバイル決済において存在感を強めるQRコード決済。国内対応状況やその導入意欲など、アンケート結果をアナリストが徹底分析。

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QRコード決済普及へのステップ

 QRコード決済を含めたモバイル決済を普及させていくためには、結局のところ加盟店を増やしていき、使える場所を増やしていく必要があるのは間違いない。そのためには、既に何かしらのキャッシュレス対応可能な環境が整備されている大手店舗はもちろん、いまだ導入が進んでいない地元の小さな商店などの開拓が必要不可欠だ。少なからず投資が伴うモバイル決済導入について決断するためには、実際利用するユーザーがモバイル決済の仕組みを望んでいることを知ることが重要だ。

 また、インバウンド対応も含めて、何かしらのキャッシュレス化が可能な決済手段を導入しようとしても、何を選ぶべきなのか、何から手を付けていいのか判断できない方も少なくない。店舗にとってみれば、モバイル決済のほうがクレジットカード決済よりも手数料が安価で済むだけでなく、QRコード決済に限って言えば決済端末の導入も不要になるなど、さまざまなメリットが得られることは間違いない。

 それでも、決済アプリベンダーや通信キャリアなどのモバイル決済のプレイヤー側が、地方の店舗にまでアプローチできていない状況にあり、店舗側にとってもモバイル決済を積極的に取り組むための何らかのきっかけが必要となる。今回の調査が、モバイル決済およびQRコード決済導入を検討するきっかけの一助になれば幸いだ。

 本来であれば、インバウンド対策として地方の観光協会などがキャッシュレス化を主導することで、地方の店舗にも仕組みが広がりやすいと考えられるが、現状は地方の自治体とベンダーが一緒になり、ブロックチェーン技術などを活用して地域通貨を普及させようという動きの方が多くみられる。それでも、地域通貨の決済時にはQRコードが利用されることになるため、その利便性を感じた店舗が多くなれば、QRコード決済そのものが広がっていく可能性は大いにある。

新たな顧客体験がキャッシュレス化をけん引する

 キャッシュレス化はその利便性の高さが大きなメリットになるが、最近ではAmazon.comが米国で手掛けている新業態の店舗「Amazon Go」のように、レジを持たない店舗が海外でも試験的に設置され始めており、日本国内でもロイヤルホールディングスが手掛ける「GATHERING TABLE PANTRY」が東京・馬喰町にてキャッシュレス店舗の営業を開始している。

 またUberやLyftをはじめとしたタクシーサービスでも、スマートフォン1つで配車から料金支払い、チップの設定までが完全にキャッシュレスで行えるようになっている。さらなるキャッスレス化推進に向けては、従来のようにレジで現金を支払うスタイルの買い物ではない、新たな顧客体験をもたらすような買い物スタイルをキャッシュレスとともに提案していくことが必要になるかもしれない。

 なお、交通費の立て替え払いや備品購入時の少額決済などの手段としてQRコード決済やモバイル決済が法人利用されているかといえば、まだその状況にはない。現状は法人向けのデビットカードが出始めているところであり、法人内でのキャッシュレス決済はまだ広がっていないのが実態だ。もちろん、経費精算などの手間が軽減されることにもつながるため、QRコード決済できる場所やシーンが広がってくれば、いずれ利便性の高さから広がってくることは十分考えられるだろう。

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