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aiboのAIから見るソニーの本気、ディープラーニングツールを公開イベントレポートアーカイブ(4/4 ページ)

新型aiboで注目されるソニー、実は2010年からディープラーニングへの取り組みを開始している。aiboにも搭載されているそのツールの特徴とは?

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研究開発者向けのフレームワーク「Neural Network Libraries」

 この課題に対して同社が提案しているのが、ディープラーニング研究開発を効率化するソフトウェアの利用である。研究開発者向けの製品Neural Network Librariesはプログラミングに抵抗感のない人に向けたフレームワークであり、コーディング(Python/C++)によっていかようにも利用できる自由度の高さが特徴だ。

 既にコアライブラリは2回作り直しているだけに、文法構造が洗練され「書きやすく読みやすい」という。CPU/GPUが異なる環境への移植でもネットワークコードや学習コードの変更が不要、またはごくわずかな変更で済むようにできており、さまざまなデバイスへの適用が可能だ。またサーバ上で学習したものを組み込みデバイスに組み込もうとするとコンバートが必要になる場合があるが、これはC++コアをそのままデバイス上で利用できるので、そのような作業の必要はないということだ。

初心者でも使えて効率的開発が可能な「Neural Network Console」

 もう1つのNeural Network Consoleは、初めてディープラーニングに取り組む人や、開発効率を重視するケースに向けたディープラーニングツールとなっている。学習エンジンにはNeural Network Librariesが使われているのだが、コーディングの必要がないようGUIによって操作でき、初心者でも利用のハードルが低い製品になっている。

 Windows版はインストールするだけで、クラウド版(現在オープンβ版)はログインするだけで、すぐにディープラーニングがスタートできる。ニューラルネットワーク設計の画面では、コンポーネントを画面上でドラッグ&ドロップやコピー&ペーストによりネットワーク構造を決めていけ、学習ボタン1つで学習を始められる。その後は自動的にネットワークの最適化が行われていく。

「ニューラルネットワーク設計がこのツールだけでできるのはもちろんだが、設計作業で大変なのがデバッグ。このツールを使うと、エラーが生じたら警告表示され、どの部分に問題があるかが画面ですぐに確認でき、すぐに修正できる。大規模なニューラルネットワークでもこれによれば効率的に開発できる。GUI設計ツールは他にもあるが、商用レベルでの開発を完結できるのがこの製品の特徴」と小林氏は述べた。ソニーの製品開発に利用されてきたことが強みだろう。

 また、トライアル&エラーを繰り返して性能を上げていくのがディープラーニングの常道なのだが、Neural Network Consoleには全ての試行錯誤結果を管理する機能がある。これがもう1つの特徴だ。記録した学習結果を一覧して過去の結果と比較でき、ネットワーク構造の差分なども分かりやすく表示する。開発経験を積むうちに、どのようなネットワークなら性能、精度が得られるのかが分析できるようになる。

 さらにもう1つの特徴は、ツール自身の機能でネットワーク構造の変更と評価を自動的に繰り返し、精度とフットプリントの同時最適化を行う構造自動探索機能である。これは「ネットワーク構造のチューニングの追い込み作業に効果的」ということだ。

 小林氏はこのようなツールを利用することで「ディープラーニング応用技術者を迅速に育成でき、ディープラーニング応用技術の研究開発、実用化が効率的にできるようになる。また、ディープラーニングのポテンシャルを、技術者だけでなく、企画部門やデザイナーなどさまざまな人に理解してもらい、それぞれのアイデアを短時間で市場投入するために活用してもらいたい」と述べた。

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