最悪の犯罪、ドローンが運んだ84億円の「ブツ」とは?:460th Lap:金曜Black★ピット
ドローンに関するニュースは、途切れることなくWebサイトやテレビで取り上げられている。その多くはドローンを有効利用した前向きな話題だ。
しかし、ドローンを悪用した事件も後を絶たない。その中でもちょっと変わったニュースがあった。中国の深セン市で発覚したスマートフォン密輸事件だ。
こう書くと「ああ、ドローンでスマホを運んだのね?」となりそうなものだが、ちまちま運んでいては大きな「利益」は生まれない。さて、ドローンをどのように使ったのか?
深センといえば、中国の4大都市の1つとして数えられる大都市だ。経済特区でもあり、「中国のシリコンバレー」と呼ばれるほどハイテク産業が集中し、かつての秋葉原のようなディープな電気街も存在する。
地理的には香港に隣接しているが、ご存じの通り、特別行政区である香港は中国人といえども自由に行き来できるわけではない。中国側から香港へ行くには「往来港澳通行証」というパスポートのようなものがないと「渡航」できないのだ。
さて、今回の事件で犯人は1万5000台、金額にして5億元(約84億円)もの中古iPhoneを香港で調達した。台数も金額もものすごい数だが、中国本土では中古iPhoneが大人気なのだ。
だが、香港から中国本土へ販売目的のスマホを運び入れることは容易ではない。正式に輸入したら高い関税がかかる。そこでドローンの登場だ。
犯人は、深セン側の高層マンションの25階にある一室を手配した。そこからドローンを飛ばし、境界線である川を越えて香港側の小屋までワイヤーを張った。距離としては約200メートルほどだ。次に、香港側の犯人がiPhoneを入れた袋をワイヤーにくくりつける。最後に、マンションに設置した電動ウインチでワイヤーを巻き取れば密輸完了だ。
一気に1万5000台の輸送は無理なので、犯人グループは数日に分けて密輸を行った。深夜になるたびにドローンを飛ばしてワイヤーを張り、明け方には撤去していたので、なかなか発覚しなかった。
今回の摘発は、中国でドローンを使った密輸として初めてだという。今後も同様の犯罪が繰り返される可能性は高い。用心したほうがいいかもしれないな。
上司X: ドローンを使ったスマホ密輸犯罪が発覚したという話だよ。
ブラックピット: ほうほう。でもドローンは「運び屋」ではなくて、ワイヤーを張る係だったということですね。
上司X: 高性能ドローンでもスマホを満載して何往復もするわけにはいかないだろう。1万5000台ともなると重いし。
ブラックピット: 密輸入ですから満載するのは片道だけですよ。
上司X: ドローンには荷が重いって話だよ。
ブラックピット: それで、うまく言ったつもりですか?
上司X: ともかく、深センはアヤシゲな電気街がある都市であると同時に、ドローン開発の拠点がたくさん存在する都市でもあるからな。今回の事件はまさにうってつけの場所だったんだろう。
ブラックピット: さすがに日本ではドローンを使った密輸は難しいでしょうね。でも、停泊中の船からドローンでブツを運び入れるならできそうですね。
上司X: あまり物騒なことを考えないように。こういう事件が公になると模倣犯が出てこないとも限らないからな。ドローンはさ、もっと明るく正義のために使ってもらいたいものだよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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