企業規模別、目的別で考える「名刺管理ツール」の選び方:IT導入完全ガイド(1/3 ページ)
日本のビジネスに欠かせない「名刺」。そのデータ化と管理に必須な「名刺管理ツール」をどのように選定すればよいのか。企業規模や目的、ポリシーに沿ったツール選定のポイントを紹介する。
日本のビジネスに欠かせない「名刺」。わずか91mm×55mmの小さな紙ではあるが、ここに社会人として重要な個人情報が記載されている。昨今では、名刺のデータ化と管理に必須な「名刺管理ツール」によって、情報を複合的に活用し、さらなるビジネスチャンスを得られることが周知されている。しかし、いざ名刺管理ツールの導入を検討すると、どのサービスを選べばよいのか、クラウドサービス型、オンプレミス型、パッケージソフトウェア型の形態の中で何がベストなのか迷うこともあるだろう。そこで本稿では、企業規模や目的、ポリシーに沿ったツールの選び方を紹介する。
名刺管理ツールの概要と市場規模
名刺はかつて、受け取った従業員が自分で獲得した人脈として個人で管理し、活用するのが一般的だった。しかし昨今、従業員が入手した名刺は会社に所属するという風潮が広がっている。社内の名刺を共有することでその情報を全社で活用し、さらなるビジネスチャンスへとつなげるためだ。その風潮を作り上げている立役者が「名刺管理ツール」だ。
名刺管理ツールは、紙の名刺をデジタルデータ化する。重要なのは、単にデジタル画像として処理するのではなく、OCR(Optical Character Recognition/Reader、光学文字認識)によって名刺に記載された文字(人名、企業名、住所、電話番号、メールアドレスなど)をデータ化することだ。それも、単にデータベースとして保存するだけでなく、これらのデータを互いに関連付けることで、企業の持つ人脈を「見える化」することが可能となる。
法人向けの名刺管理ツールは2007年に市場が誕生して以来、右肩上がりの成長を続けている。今後も成長が見込まれ、シード・プラニングが実施した「法人向け名刺管理サービス」の市場動向調査結果(16年5月〜8月実施)によれば、20年には68億円の市場規模を見込む。
また、今後はSFAやCRMとの連携し、マーケティングツールの一端として活用されることも多くなる上、名刺をスキャンするという文脈でOCRビジネスと密接な関係にあることも忘れてはいけない。実際に、SFA市場やCRM市場、MA市場、OCR市場のうち、5%〜10%は名刺管理サービスに関係するともいわれる。さらには、名刺を活用したSNS分野までもカバーする勢いがある。シード・プラニングによれば、こうした隣接するサービスの一部を含め、広義の名刺管理サービスの市場は2015年から20年にかけて約6倍、すなわち約197億円に拡大する可能性もあるとしている。
図1 名刺管理サービス市場規模予測(出典:シード・プランニング「法人向け名刺管理サービスに関する市場動向調査」https://www.seedplanning.co.jp/press/2016/2016091601.html)
図2 拡大する名刺管理ツールの市場(シード・プランニング作成)(出典:シード・プランニング「法人向け名刺管理サービスに関する市場動向調査」https://www.seedplanning.co.jp/press/2016/2016091601.html)
次に、名刺管理ツールの形態について整理していこう。大別すると、名刺管理ツールは以下の3つのタイプに分類できる。
- クラウドサービス型
- オンプレミス型
- パッケージソフトウェア型
「クラウドサービス型」はクラウド上の名刺管理ツールを、ライセンス(ユーザー)毎に契約して利用するサービス。「オンプレミス型」は、自社内にサーバを構築し、名刺管理ツールを運用するタイプ。「パッケージソフトウェア型」は、PCに名刺管理ツールをインストールして利用する形態である。それぞれの形態でどのような特徴があるのだろうか。
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