深刻化するセキュリティ運用の負荷増、マネージド市場が急成長
セキュリティ人材が不足する一方で、サイバー攻撃の脅威は増すばかりだ。解決策の1つとして有望視されるセキュリティのアウトソース市場はどうなっていくのか?
サイバー攻撃の多様化や深刻化に対抗するために、セキュリティ製品の高機能化が加速している。一方で、セキュリティにおける人材不足は大きな懸念事項だ。経済産業省が2016年にまとめた調査結果によれば、情報セキュリティ人材の不足は調査時点で13万2060人、2020年には19万3010人に達する(出典「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」平成28年6月10日)。
このような背景の中、有望視される解決策の1つがセキュリティ業務のアウトソーシングだ。ミック経済研究所が「情報セキュリティマネージド型・クラウド型サービス市場の現状と展望 2018年度版」をまとめた。同レポートによれば、2018年度も高い成長が続く。
セキュリティ製品の高機能化で運用の複雑化が課題に
ミック経済研究所では、情報セキュリティマネージド型・クラウド型サービス市場として14分野のセキュリティ関連サービスを定義する。2017年度の市場規模は前年対比119.9%の1156.1億円だった。2018年度は前年対比120.5%の1392.8億円まで成長するものと予測する。
2017年度、急成長した分野はクラウド型WAFとDDoS対策
サービス分野別での売り上げ構成をみると、「セキュリティ監視・運用サービス」が39.4%を占め1位だった。売上額でみると前年対比115.9%の455.1億円となる。同社では、サイバー攻撃の高度化によって検知や解析も非常に高度な専門性が求められるようになった結果、利用が拡大したものとコメントする。
これまで監視や運用サービスの対象はファイアウォールやIPS/IDSが中心だったが、近年、標的型攻撃対策アプライアンスやエンドポイントでの検知と対応を行うEDR(Endpoint Detection and Response)製品の運用を提供するベンダーが増えていることも市場が好調に推移する要因と考えられている。
なお、ミック経済研究所ではクラウド型WAFとクラウド型DDoS対策サービスの急成長に注目する。クラウドWAFは、Webアプリケーションの脆弱(ぜいじゃく)性を突いた攻撃による情報流出事故が後を絶たないことから、2017年度には68.5%増となった。また、DDoSの大規模化を受けてクラウド型DDoS対策サービスを導入する企業が増え、同40.5%増となった。
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