国内SDN市場は今後5年間で3倍に成長、その要因とは?
データセンターを中心に立ち上がったSDN/NFV市場が大きな成長を続けている。2022年の市場規模は1759億円と2017年の約3.4倍になるとみられる。その要因は何か?
仮想化技術を用いてネットワークの運用負荷やコスト負担を低減するSDN(ソフトウェア定義型ネットワーク)やNFV(ネットワーク機能仮想化)市場の成長が好調だ。IDC Japanの調査によれば、2017年の国内SDN市場は521億円規模まで拡大した。2022年には1759億円にまで市場規模が成長すると予測する。
企業ネットワークにおけるSDN導入が急速に進む
IDC Japanでは、SDN市場を「データセンターSDN市場」「キャリアSDN/NFV市場」「企業ネットワークSDN市場」という3つの適用領域別に分析する。いずれの領域も今後5年間で大きな成長が予測される。
まず、SDN市場をリードしてきたデータセンターSDNだが、2017年も前年比成長率40%以上と高い伸びを見せ、市場規模は308億円に達した。同社では、「データセンターネットワークの自動化」と「マイクロセグメンテーションの適用」の2つが成長の両輪だとコメントする。本領域の2017年〜2022年の年間平均成長率(CAGR)は24.0%だ。
一方、キャリアSDN/NFV市場は、今後本格的に立ち上がる市場だ。2017年は低調だったキャリアNFV市場だが、5Gサービスに向けた移動体通信事業者の設備投資の活性化や、新たなMNOの誕生などを踏まえて「今後の成長については楽観視している」という。2022年までの年間平均成長率は32.7%と高い数字を示す。
企業ネットワークSDN市場は、主にセキュリティ対策を目的とした導入が市場の成長を後押しした。2017年の前年比成長率は96.5%と非常に高く、2016年の同59.3%を大きく上回った。拡大基調は今後も続き、2017年から2022年のCAGRは31.3%と予測する。
セキュリティ対策としてのSDNとは何か?
ところで、セキュリティ対策の強化とは一体何を指すのだろうか。同社が2018年1月に発表したネットワーク仮想化に関する国内企業ユーザー動向調査(調査対象、国内企業874社)によれば、SDNを導入した、または導入する予定があると回答した企業のうち、約17%が「マルウェアやDDoSなどのセキュリティ対策」としてSDN技術を活用する意向を示した。
これは「物理ネットワークの統合」に次いで2番目に高い導入目的となった。IDC Japanでは、「ネットワーク経路を制御するSDNの特性が、外部/内部脅威対策の有効な手段として認知されつつあり、SDN活用の最も有望なユースケースの1つである」とコメントしている。
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