Windows 10導入方法は? Windows 7サポート終了後の疑問を整理する:IT導入完全ガイド(5/5 ページ)
Windows 7のサポート終了まであとわずか。Windows 10はアップデートポリシーなどが大幅に変わることから、移行後の運用も従来通りとは行かない。チェックポイントを整理しておこう。
Windows 10移行はクライアント運用の在り方を見直す好機
Windows 10の機能を活用した新たな働き方の検討も
Windows 10には、Windows 7をはじめとする旧バージョンのOSにはない、先進的な機能や特徴が備わっている。それらを有効活用することで、企業全体の生産性を大幅にアップさせることも可能だ。そのため、Windows 10移行を単なる「OSの入れ替え」ではなく、業務効率アップやITガバナンス強化のチャンスと捉えることもできる。
特に、Windows 10はセキュリティ機能が極めて充実しているため、それらを積極的に活用することでセキュリティ対策の強化はもちろんのこと、例えばノートPCを安全に社外に持ち出せるようになることで、リモートワークや在宅勤務などの取り組みも前進するかもしれない。近年、「働き方改革」が声高に叫ばれていることもあり、Windows 10への移行を機に新たなクライアント運用の在り方を検討する企業も増えてくるだろう。
ただし、Windows 10はセキュリティの強化だけでなく、逆にセキュリティ対策上の穴となり得る機能も多く搭載している。例えば、ハッキングのリスクがある「仮想デスクトップ」の機能は、企業用途ではできれば無効化しておいた方が無難だろう。また音声アシスタント機能「Cortana(コルタナ)」も、ユーザーが行った入力の内容が自動的にマイクロソフトのクラウド環境上に送られるため、情報漏えい対策にシビアな企業ではやはり無効化しておいた方がいいだろう。
Windows 10導入を機にVDI/DaaS環境への移行を検討
Windows 10移行を機に、クライアント環境の運用スタイルそのものを抜本的に見直す企業もこれから増えてきそうだ。例えば、現在Windows 7のPCを運用している企業が、Windows 10移行を機にクライアント環境を仮想デスクトップ(VDI)に切り替えていくケースは今後増えてくるだろう。
また、近年注目を集めるDaaS(Desktop as a Service)の採用例も、Windows 10移行を機に増えてきそうだ。DaaSはVDI環境をパブリッククラウドサービスとして提供するもので、例えば日本ユニシスが提供する「Citrix on Azure運営サービス」は、マイクロソフトのパブリッククラウド基盤であるMicrosoft Azure上にシトリックスの仮想クライアントソリューション「Citrix XenApp」「Citrix XenDesktop」を載せることでDaaSを実現している。
同サービスでは、顧客のWindows 10クライアント環境を、Office 365と同じマイクロソフトのパブリッククラウド環境上で稼働させるため、Office 365アプリケーションをシンプルな運用で、かつ遅延なく快適に利用できるようになる。また、Windows 10クライアント環境の運用における最大の関門であるFeature Updateの管理も、仮想マシンのマスターイメージファイルの単位でアップデート適用を管理することで、シンプルに制御できるようになるという。
Windows 10以外の選択肢は?
Windows 10のFeature Updateにまつわる問題を回避するために、いっそのことWindows 10以外のクライアント環境を検討してみるのも手だ。最も現実的な選択肢としては、アプリケーション仮想化ソリューションの導入が挙げられる。Citrix XenAppに代表されるアプリケーション仮想化ソリューションでは、サーバ上で動作するアプリケーションを複数のユーザー間で共有し、その画面データのみをクライアント端末上で表示させる。
クライアント端末として、Windows OSを必要としないシンクライアント端末を採用すれば、Windows 10を一切導入することなくユーザーのデスクトップ環境を構築することも可能だ。もちろん、利用するアプリケーションが、アプリケーション仮想化環境に対応していることが大前提となるが、企業で一般的に使われているOA端末であれば、アプリケーション仮想化だけでデスクトップ環境を構築することは十分可能だ。
また「サーバVDI」という方法を使い、Windows 10ではなく思い切ってWindows Server OSをデスクトップ環境として使ってしまうという荒技もある。サーバOSは一般的にクライアントOSより高額なイメージがあるが、VDI環境に限って言えば、VDI環境に特有の高額なライセンスが必要となるクライアントOSより、サーバに搭載されるCPUコア数だけでライセンス費用が決まるサーバOSの方が安く上がる可能性もある。しかもサーバOSなら、Windows 10のFeature Updateにまつわる問題に悩まされることもない。
ただしこの場合も、Windows 10上で動くアプリケーションの全てがWindows Server上で動くとは限らないため、注意が必要だ。またWindows Serverも、将来的にはWindows 10と同じく定期アップデートを少しずつ繰り返しながら進化していくWaaSモデルに移行していく可能性がある点にも留意しておくべきだろう。
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