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トヨタが実践したデザイン思考の成果と「デジタル筋トレ」イベントレポートアーカイブ(1/2 ページ)

最近よく聞く「デザイン思考」。コンセプトは分かるけれど、実際の行動方法はよく分からない、というのがホンネだ。トヨタ自動車が3年前から取り組んだのは、どんなことか?

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 富士通は5月17〜18日、東京国際フォーラムを会場に「富士通フォーラム2018 東京」を開催した。初日のキーノートスピーチ「Human Centric Innovation:Co-creation for Success」には、富士通 社長 田中達也氏と執行役員 山田厳英氏が登壇し、ゲストを交えながら、量子コンピューティングの最新動向やデジタル変革に向けた富士通の技術と取り組みを紹介した。

 本稿では、グローバルマーケティングを担当する執行役員 山田厳英氏による講演「デジタル革新を成功に導くためのポイント」から、デジタル変革支援の動向を中心に見ていく。中でも注目したのが、トヨタ自動車(以降、トヨタ)の新設組織が取り組んだデザイン思考の導入プロジェクトだ。

デジタル変革の成功には6つの「デジタル筋」が必要

 山田氏はまず、グローバルで経営層を対象にした富士通の独自調査の結果として「デジタル革新を実行、トライアル、検討している」という回答が全体の67%、「デジタル革新のプロジェクトで成果を挙げた」とする回答が全体の24%に達したことを挙げ、デジタル革新が進展していることを示した。

 富士通が手掛けたデジタル変革の成功例も増えている。例えば小売店に手のひら静脈認証決済を導入した韓国のクレジットカード会社ロッテカードでは、「手ぶらで買い物ができる世界の実現」を目指す。

 ゲストとして登壇したロッテカード デジタルペイメントチーム マネージャーのアン・ビョンイル氏は、「韓国で最も多く使われているのはモバイル決済。ただし、さらに便利な方法を考えると、『何も持たない、何も用いない方法』がベスト。未来の決済手段を考えた場合、道具を使わない方法が一番だと判断し、生体認証の中でも、精度が高く、簡単に利用できる手のひら静脈認証を採用しました」と導入の意図を説明した。

 このように同社が協力して進展したデジタル変革の例から、山田氏は、成功するデジタル革新の取り組みのポイントを6つの要素に整理した。経営層の「リーダーシップ」、課題解決に向けた「俊敏性」、デジタルテクノロジーと既存「ビジネスとの融合」、企業が保有する大量の「データからの価値創出」、デジタルスキルを持つ「人材」、そして価値を拡大させていく「エコシステム」だ。

 「富士通では、この6つの要素を身体に例え、デジタルマッスル(デジタル筋)と呼んでいます。企業がデジタル革新を目指すには、強い意志を持って企業体質を改革すべく、これらの筋肉を鍛え続ける必要があります」(山田氏)

デジタルマッスル
デジタル変革を成功させるには作りっぱなしではなく「継続して鍛え続ける」ことが重要であると指摘する(山田氏の投影資料)

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