「崖っぷちERP導入」苦節8年2度の失敗から3度目はなぜ成功したか:事例で学ぶ!業務改善のヒント(1/3 ページ)
もう8年もERPを導入しようとしては頓挫してきた――失敗続きの導入プロジェクトが3度目にして、みごとに1年で成功した理由はどこにあったか。
クラウドインテグレーションを中心に、日本国内はもとより、中国やシンガポールなどでもサービスを展開するなどグローバルに事業を展開するクララオンライン。同社は創業20年を迎えた2017年に業務システムを全面刷新している。クラウド型業務システムやシステム統合、さらにははやりのデータ分析までを実現しているというが、その背景には、2度の失敗、ユーザー部門の不満など、きれいごとでは済まない苦労があったという。3度目で成功した理由はどこにあるのか。本稿では、その軌跡を追った。
(注)本稿は、グローバルでERPシステム導入に実績を持つパシフィックビジネスコンサルティング(以下、PBC)による、導入事例セミナー「気になる!? あの会社のシステムデザイン“業務システム構築事例”セミナー Part2」(4月11日)のうち、事例講演「Microsoft Dynamics NAV on Microsoft Azure構築事例〜成功以外にゴールなし、如何にしてERP導入を実現したか〜」の内容元に編集部で再構成した。
苦節8年、2度の失敗
クララオンラインは「アジアNo.1のインターネットサービスプラットフォームカンパニー」を目指し、東京、名古屋、北京、シンガポール、台北、ソウル、香港を拠点に、クラウドサービス、クラウド運用、インターネットおよびモバイル領域のコンサルティングサービスを提供する企業だ。特に、アジアの国や地域を横断してサービスを提供してきた経験から、各国の通信事情や法規制に明るく、国内ISPのアジア進出に協力するなど、クラウドサービスプロバイダ以外の事業も積極的に展開している。
ERP導入前の業務システムが抱えていた課題について、登壇したクララオンライン ゼネラルマネージャーの山崎隼人氏は、「購買、販売、会計など各部門で異なるシステムが導入され、二重三重の入力作業によるミスが発生していた。また、月次業務をシステム外の手作業で行う必要があり、非効率だった。この他、データが散在しているため分析するのも一苦労で、内製のプログラム開発にも十分なリソースを割けず、複数システムの運用管理に多大な社内工数を費やしていた」と説明する。
そこで、これらの課題を解決するため、「データの一元化による経営の見える化」「業務効率化による単純作業の工数削減」という2つを目的に掲げた業務改革プロジェクトを立ち上げた。この2つを実現するものとして基幹業務システムの統合基盤を構築することを考え、ERP導入プロジェクトを立ち上げたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.