「マナミさん」「AIリーガルbot」の実力とは? チャットbot最前線:IT導入完全ガイド(1/6 ページ)
アスクルのECサイト「LOHACO(ロハコ)」の問い合わせ対応をするチャットbot「マナミさん」。誕生秘話と活用ノウハウとは。また、社内の不正を暴く「AIリーガルbot」など、組織内でのチャットbot活用事例も紹介。
本稿では、企業や組織でチャットbotがどのように活用されているのか、事例を3つほど紹介する。ECサイトを運営するアスクルの事例は、多くのB to Cサービス提供企業の参考になるだろう。また箱根水道パートナーズの事例や「リーガルbot」という法務部門などでのユースケースは、これから活用が広がっていくことが見込まれるIn Bでの活用の典型的事例である。本稿では各社における開発ツールの選定の経緯や、開発の苦労、得られたノウハウ、また導入効果などを掘り下げたい。これからチャットbotを利用してみたいという企業は必見だ。
メールや電話対応の急増を抑え込んだマナミさん
アスクルは、中小事業所向けの「ASKUL(アスクル)」、個人向けの「LOHACO(ロハコ)」、大企業向けの「SOLOEL ARENA(ソロエルアリーナ)」「SOLOEL(ソロエル)」と、B to B、B to C両面の大規模ECサイトを運営している大手通販業者。国内ではいち早くチャットbotの有用性に気付き、本格運用を始めた。
同社のチャットbot第1号は2014年9月に誕生した「マナミさん」。当時、新卒1期生として採用された女性担当者の名前を付けたのだという。マナミさんは、LOHACOのWebサイト上からユーザーがチャットを介して問い合わせをすると、そのメッセージに応じてさまざまな顧客対応をすることから始まった。
マナミさんの導入効果は問い合わせ件数の推移(図1)に見ることができる。徹底したキャラクター作りなどの工夫を経て、リリースから1年後には総問い合わせ件数の約3分の1をマナミさんが担うようになった。直近ではメールや電話による問い合わせとほぼ同じ件数をマナミさんで対応している。グラフには数字がないが、現在ではマナミさんによって月に1万件以上の問い合わせを対処しているという。人の工数に換算して6.5人分の働きに当たることから、チャットbotがいかに業務の効率化に貢献しているかが分かるだろう。
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