人事管理システムの導入状況(2018年)/後編:IT担当者300人に聞きました(1/2 ページ)
キーマンズネット会員186人を対象にアンケート調査を実施した。人事・労務部門の課題や人事管理システムで重視するポイントなどが明らかになった。
キーマンズネットは2018年5月2〜30日にわたり、「人事管理システムの導入状況に関する調査」を実施した。全回答者数186人のうち情報システム部門が38.2%、製造・生産部門が15.6%、営業・販売・営業企画部門が10.2%、経営者・経営企画部門が7.0%などと続く内訳であった。
今回は、企業が抱える「人事・労務部門が持つ課題」から人事管理システムの「重視ポイント」「今後期待する機能」など、人事管理システムに期待する機能について把握するための質問を展開。人事管理システムのリプレースや新規導入を検討している企業の約4割が「勤怠管理の効率化」を重視していることなどが明らかになった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
労務環境の改善に人手不足、採用難……人事部門が今、直面している課題とは
前編では人事管理システムの導入企業やリプレースを中心とした検討企業が増加傾向にあることなどに触れたが、後編ではその人事管理システムに期待する役割や機能について、企業はどのように考えているのかを見ていこう。
はじめに、そもそも現在企業が抱えている人事労務上の課題とは何なのだろうか。「職場での人事・労務部門が持つ課題」について3つに分類して聞いたところ、以下のような声が挙げられた。
■人事労務管理の課題
正確な勤怠管理ができていない
- 誰が休んでいるか、時差出勤か不明
- 毎月の提携処理では手動で作成している資料がたくさんある
- 労働時間の見える化
- 就業時間チェックが曖昧
評価制度が公正でない
- 評価制度の不透明さ
- 公正で納得感のある評価の実現
- 平等な制度が作れない
- 人事評価制度に問題がある
労働環境の改善
- 残業の削減と有給休暇取得推進
- 超過勤務削減
- 柔軟な労働環境の整備を目指しているが実現できない
- 過重労働への対策
- モチベーションを上げる施策がない
人的リソースが不足している
- 人手不足
- 全て1人で業務を理解。運用している状態
- 社内の人材の流動性に乏しく、マンパワー不足の状態がすぐに解消できない
■人材管理の課題
保有スキルや業務経験などを生かした適材適所の人材配置ができていない
- スキル管理
- キャリアパスの具体的な明示
- タレントマネジメントの実施
- スキルロードマップの見える化を通してのモチベーション向上
- 適材適所の配置ができていないと思う
多様な働き方に対応できていない
- 子育て期間中の女性社員が多く、彼女らの活用機会の創出が十分でない
- 働き方改革に対応していない
- 自宅ワークなどが管理の面で行えない
- 多様な働き方(在宅ワークなど)を望む人材に対応できていない
■人材採用・育成の課題
採用活動がうまくいかない
- 新卒の人材が集まらない
- 人材を確保することができない
- 売り手市場で優秀な人材が確保できない
人材の育成計画や制度が整備されていない
- 人材のスキルレベルやキャリアプラン、育成計画が申告ベースに近く、改善の必要があると感じる
- 資格取得補助や資格保持の評価が無い
- 現状把握、戦略実現の行動計画に必要な機能の技能の明確化、成果の評価などしていないので、必要な技能持つ人材が採用されないし、育成もしない
- 教育を継続させていく風土が身についていない
- メンター制度の整備
- 会社組織としての人材育成計画を持っていない
- 人材育成プログラムがきちんと運用されないばかりか、見直しすらない
- 教育訓練の機会が無い
労務管理上の課題では、超過勤務の削減や有給休暇取得の促進など労働環境の改善と、そのための労働時間の見える化や勤怠管理の重要性が挙げられた。一方で「マンパワー不足の状態がすぐに解消されない」といった声に代表されるように慢性的な人手不足に悩む企業も少なくない。頼みの綱である採用活動も「売り手市場で優秀な人材が確保できない」状態であり、企業としては頭の痛い問題であろう。そうなってくると既存の従業員の活躍を促進したいところで、企業の課題感も「適材適所の人材配置」や「人材の育成計画や制度」といった点に声が集まっていた。また子育て期間中の女性社員など多様な働き方を望む従業員への環境整備も、これらの課題を解消していくためには必要になってくるだろう。
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