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真のデジタルエンタープライズへ。第一生命保険がRPAに課した5基準

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPA BANK

RPAは自動化ツールの範疇を超え、本格的なデジタル労働力(デジタルワークフォース)として先進企業に変革をもたらしている。では、これからデジタルワークフォースを導入する企業は、どのような段階を踏み、どういったRPAツールを選定すればいいのだろうか。

本記事では、国内でのRPA導入先進企業である第一生命保険株式会社の取り組みと、同社が導入するRPAツールAutomation Anywhereの特徴について、第一生命保険株式会社 事務企画部 部長 前泊圭氏と、オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 日本代表 スリニ・ウナマタラ氏に話を聞いた。


第一生命保険株式会社 事務企画部 部長 前泊圭氏

第一生命保険がRPA選定に課した5つの基準

──はじめに、RPAを導入した目的と経緯について簡単にお聞かせください。

前泊: 当社は2010年に株式会社へ転換、2016年には持株会社体制へと移行し、現在は第一生命グループとして、国内生命保険事業のみならず、海外生命保険事業、アセットマネジメント事業と事業領域を拡大しているという経緯があります。その中、当社グループでは新たなテクノロジーの活用等による既存業務の効率化と、社員自身の働き方の改革を通じて、拡大する事業へ人員を再配置していく方針で取り組んでいます。具体的には、定型的な事務作業等を効率化し、その結果生み出すことのできたリソースを、成長分野や新たな事業等へ振り分けていく必要があり、そのためのひとつの施策としてRPAを導入しました。

2016年10月より外資系コンサル企業と共同でRPAのPoCを行い、2017年7月から個人保険関係事務に加えてマーケティング、総務・会計、資産運用にかかわる事務にまでRPAをトライアル稼働させ、そして今年4月からは本格稼働に移行して全社展開しています。大きな目標で言うならば、RPAにとどまらず目指しているのは、先端技術の活用を通じて利便性と生産性を向上させ、新たな市場と競争軸を生むイノベーションを創出することです。そのためにも、デジタルトランスフォーメーションによるオペレーション改革を進めています。

──RPAの導入にあたり、どのような基準で選定を行ったのですか。

前泊: 現在はAutomation AnywhereとBlue Prismの二種類のRPAツールを併用して導入していますが、PoCの段階では5製品を試用していました。進めるうちに、RPAツールは運用にも相応の工数がかかるとわかってきたので、まずは「運用支援機能がきちんと揃っているか」に着目しました。そして、「ロボットのセットアップが容易でかつビジネスプロセスをしっかりと構成していけること」、「効率的なロボット活用のために、ロボットの運行状況を一元管理できること」、「当社のシステムとの親和性」なども重視しました。加えて、将来の大規模活用の面から「ロボットの拡張性が優れていること」ということも選定ポイントでした。

最終的に、これらの条件をすべて網羅している製品を選定しました。Automation Anywhereの製品は、個人保険の事務業務で活用する社内システムとの連携時の操作性が高かったですね。

目指すは真のデジタルエンタープライズ。RPA導入は3段階のファーストフェーズ

──長期的な運用を入念に考慮した基準で選定を行ったということですね。その長期的な視点で見たときに、改めて、RPAとは企業にどのようなメリットをもたらす存在と言えるのでしょうか。

ウナマタラ: 前提として、RPAは単なるツールではないと理解すべきでしょう。もちろん業務プロセスを自動化するツールではあるのですが、自動化はあくまで過程に過ぎません。自動化を経た結果として、あらゆる業務の効率化や生産性向上、さらには働き方改革を実現できるソリューションであるという点にフォーカスすべきだと考えています。

従来のヒューマンワークフォースというのは、実行から思考、分析という要素をすべて一貫して人間が行います。いっぽうデジタルワークフォースでは、RPAが実行し、AIが人と一緒に思考し、そして人と同様にBIで分析することになります。つまり、最新テクノロジーを使って人と同様に働くことのできる存在が「デジタルワークフォース」となっていきます。

──そうしたデジタルワークフォースが業務を行うというのは従来から考えるとかなり革新的です。デジタルワークフォースが浸透すると、企業はどのような形になるのでしょうか。

ウナマタラ: デジタルワークフォースが定着すれば、顧客の要望に対していつでもどこでも対応することができるようになります。かつ、それらをデジタルスケールで提供できる企業であれば、デジタルエンタープライズの企業となっていくでしょう。デジタルスケールというのは、リソースに応じて柔軟に対応できることです。

──企業がデジタルエンタープライズへと変革するには何をすべきだと考えますか。

ウナマタラ: デジタルエンタープライズへの変革には大きく3つの段階を踏むのが効果的です。最初の「スタート」の段階では、デジタルワークフォースをうまく活用することを目指します。短期間で効果を出しやすい業務プロセスを選定して、高価値かつシンプルなボットの作成やリアルタイム分析などを行うことがポイントになります。

続く2段階目の「スケール」では、その名の通りデジタルワークフォースを迅速にスケールさせていきます。つまり自動化のスケールアップを目指すこととなり、エンタープライズ基盤の展開やガバナンスの確立などを実施していくのです。そして3段階目が「トランスフォーム」で、ここではスケールし始めたデジタルワークフォースによって得られた情報やベネフィットをうまく使って、企業全体で提供するようにします。その際に、企業文化として自動化をしっかり定義していくことが求められるでしょう。

それらを実現させるために、当社の製品には「RPA、AI、BIを活用した包括的なプラットフォームを提供している」という特徴があります。レガシーからオープン系まであらゆるテクノロジースタックに対応しているカバレッジの広さもまた特徴であり、多様な環境でAI技術をRPAに活用することができます。加えてドラッグ&ドロップ機能による容易な開発が可能な使いやすさや、広範囲ですぐに活用できるエコシステムも、他にはないものと自負しています。


オートメーション・エニウェア・ジャパン株式会社 日本代表スリニ・ウナマタラ氏

大切なことは継続的なアップデート

──今後のRPAの展開予定についてお聞かせください。

前泊: 既にRPA化できそうな社内業務の洗い出しはある程度進んでいるため、これからの3年間で順次RPA化していく予定です。RPA化できた業務の件数とRPA化により削減できた業務時間をKPIで追いながら、社内業務や委託業務のRPA化を徹底して進めていこうと考えています。

もうひとつ、今後さらに意識を向けていきたいのが情報収集です。とにかくRPAというのは発展速度の速いソリューションで様々な機能が追加されます。そのため、Automation Anywhereが定期的に開催するユーザー会をさらに活用していきたいと考えています。新たに追加された機能があっても、当社内で検討するだけでは機能を効果的に活用できないケース等も、多くのユーザー企業が集まるコミュニティがあれば、この新機能をこんなふうに使えた、というような知見を共有しあうことができます。

ウナマタラ: 加えて、これまでは海外にしかテクニカルチームがなかったのですが、この7月からは日本でもテクニカルサポートをスタートさせました。時差も関係なく連絡が迅速に行え、日本語でのやりとりができるようになります。

先ほどお伝えしたように、業務自動化はあくまで変革の過程であり、将来的にデジタルエンタープライズへの変革を目指していくためには長期的な視点が必要になります。ユーザー会など情報共有の機会を継続して設けていくことはもちろん、導入後のサポートにも注力していくことで、長期的な変革を支援させていただきたいですね。

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