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助成金の受け取り手続きはどうやるのか?中小企業の働き方改革 助成金制度活用術

Office 365を使った働き方改革を検討しているなら「テレワーク助成金」制度が役に立つ。1人当り最大20万円の助成が見込めるので、上位ライセンスでも少ない負担で試せるだろう。まずは手続きをチェックしよう。

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 前回は働き方改革の推進に役立つ「Office 365」のようなクラウドサービスの活用に利用できる厚生労働省管轄の「時間外労働など改善助成金(テレワークコース)」制度*について紹介しました。今回は具体的な申請手続きから交付までの流れと、各段階の手順について紹介します。

申請から助成金が支給されるまでの流れ

 申請手続きから助成金交付までは図1のような流れとなります。今回はこの手順を順を追ってみていきます。それぞれの手続きで、事前に準備しておきたい書類や「記録」がありますので合わせてチェックしておいてください。

申請手続きから助成金交付までの流れ
申請手続きから助成金交付までの流れ

書類の準備:必要なのは7つ+3つの書類

 まず厚生労働省から指定されている申請書類を入手しましょう。全て前述の厚生労働省のWebページからダウンロードできます。書類は全部で7種類あります。

申請書類は7つ

  1. 時間外労働など改善助成金交付申請書
  2. 時間外労働など改善助成金事業実施計画
  3. 対象労働者同意書
  4. 利用予定サテライトオフィス一覧
  5. 時間外労働など改善助成金事業実施状況報告書
  6. 時間外労働など改善助成金支給申請書
  7. 時間外労働など改善助成金事業実施結果報告書

 この他、以下の書類も必要です。

確認時に提出が必要な書類は3つ

  • (a)事業主住所、代表者職・氏名などを確認できる書類
  • (b)「労働者災害補償保険の適用事業主」であることが確認できる書類
  • (c)「中小企業事業主」であることを確認するための書類

「テレワークの取り組み」は「実施計画」をトレースする

 「書類の準備」の項目で紹介した通り「時間外労働など改善助成金事業実施計画」に設定した期間(1〜6カ月)に従ってテレワークを実施します。この際、のちに提出が必要となるため、「テレワーク実施対象者からの始業開始、終業連絡などの勤怠情報」の管理とその記録は忘れずに残しておきましょう。

 ここでお分かりいただけるように、事前に提出する実施計画はそれなりに具体的かつ現実的な内容にしておく必要があります。誰がどのような期間にどう活動するかを事前に整理し、どう管理しておくかを確認しておくとよいでしょう。

実施計画の記述例
実施計画の記述例(申請マニュアルより抜粋)

支給申請書の提出に必要な手続きは?

 テレワーク期間終了後は申請書類(5)〜(7)に必要事項を記載して提出します。この時、申請書類に関連して次のような資料の提出が求められます。

 領収書などの他、議事録や告知状況の写真などが必要な場合もありますので、あらかじめ下記の情報を報告できるように準備しておくと良いでしょう。

支給申請時に必要になる資料

  1. この制度以外に国や地方公共団体から何らかの補助金を受けている場合はその内容が分かる資料
  2. 労働時間など設定改善委員会の設置など労使の話し合い機会について、客観的に話し合いが行われたことが分かる資料(話合いの参加者名簿や署名入りの議事録、会議風景写真など)
  3. 労働時間などに関する個々の苦情、意見および要望を受け付けるための担当者の選任について、いつどのように周知したのかが客観的に分かる資料(メールや社内報、掲示した場合はその写真など、周知した内容を提示)
  4. 労働者に対する事業実施計画の周知についていつどのように周知したのかが客観的に分かる資料(周知文章のコピー、掲示した場合はその写真など)
  5. 費用を支出したことが確認できる書類(領収書など)
  6. 事業を実施したことが客観的に分かる資料(改定後の就業規則、納品書、契約書、機器を導入した場合はそれらが確認できる写真などが必要)
  7. テレワーク実施と申請された日の業務時間に就業していたことが証明できる資料(賃金台帳、タイムカード、出勤簿、年休簿など)
  8. テレワークを実施したと申請する日の業務時間に在宅、またはサテライトオフィスにいたことが証明できる資料( 始業開始・終業連絡メールや実施報告書類など)
  9. 直近2年度分の労働保険料の納付・領収証書の写し
  10. 他社との導入製品の相見積(例えばクラウドサービスの導入やアップグレードの場合は、費用検討比較のため取得した<少なくとも2社分の見積書>を取得しておくこと)

支給申請提出期限は1カ月後、または2月末

 支給申請書の提出は、各社で設定した成果目標の評価期間の最終日から起算して1カ月を経過した日、または、2月末日のいずれか早い日までです。記載不備がある場合は受理されないこともあります。疑問点などある場合は早めに「テレワーク相談センター」へ問い合わせしましょう。

コラム:テレワーク相談センターとは

 この助成金の申請手続きや問い合わせへの対応窓口が「テレワーク相談センター」です。書類の提出はテレワーク相談センター窓口への持参か郵送、メール添付(原本は追って郵送)のいずれかで行います。助成金申請手続きについて不明点があった場合やテレワークの在り方についてなどの問い合わせも無料で行っています。

申請から支給までの流れは?

 提出書類の成果目標達成状況に基づき厚生労働省にて審査が行われ、のちに企業事業主へ支給通知書が交付されます。提出書類や資料の準備期間を考慮すると、2018度の申請に間に合わせるためには今すぐに準備を開始したいところです。申請に向け懸念点などあればテレワーク相談センターに問い合わせしてみましょう。また申請書の記載には申請マニュアルが用意されており、記載例やチェックリストが確認できます(PDF)。一読しておきましょう。

 申請にはいくつかの準備は必要となりますが、テレワーク助成金は非常に有益な制度です。2020年に向けた働き方改革の推進に助成金の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

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