災害復旧、事業継続計画(BCP)などの対策状況(2018年)/後編:IT担当者300人に聞きました(1/2 ページ)
最近は災害の発生も多い中、「BCP対策をしていない」と回答する企業もある。BCP対策を阻むものとは。
キーマンズネットは2018年9月6〜27日にわたり、「災害復旧、事業継続計画(BCP)などの対策状況に関する調査」を実施した。全回答者数167人のうち情報システム部門が44.3%、製造・生産部門が13.8%、営業・販売・営業企画部門が10.2%、経営者・経営企画部門が6.6%などと続く内訳であった。
今回は「システム停止によって最も長く事業が中断した時間」や「策定した復旧計画に沿って運用できたか」「システムの事業継続計画を策定あるいは見直す際の重視項目」など、企業における災害復旧やBCP策定状況を把握するための質問を展開。その結果、BCP策定済みでシステム停止を経験した企業のうち、BCPを「計画通りに運用できた」のはたったの25%ほどであることなどが明らかになった。なお、グラフ内で使用している合計値と合計欄の値が丸め誤差により一致しない場合があるので、事前にご了承いただきたい。
BCP「計画通りに運用できた」のは4社に1社……明暗を分ける2つの要因
前編では緊急時の行動指針やBCPを策定している企業が1年弱で5.1ポイント増え64.7%と増加傾向にあることなどを紹介したが、後編でも関連してBCPによって復旧した企業の実態や今後のBCP計画についての詳細を紹介していきたい。
まず、前編では約6割の企業でシステム停止による“業務中断”経験があるとの結果を紹介したが、最も長く中断したケースはどのくらいの期間だったのだろうか。調査したところ「〜3時間」「〜6時間」と、全体では復旧までに3〜6時間程度を要するケースが多かった(図1-1)。一方で「24時間以上」との回答も一定数見られ、復旧が半日程度で済む企業と1日以上かかる企業で状況が二分していることが分かる。
明暗を分けるポイントは事前に策定した復旧計画に沿って運用できたかどうかにありそうだ。調べてみるとBCPを策定していてシステム停止を経験した企業のうち、BCPを「計画通りに運用できた」のはたった25%と4社に1社しかおらず、44.6%が「計画の情報と実態に乖離(かいり)があった」、30.4%が「計画通りに運用しなかった」と回答していた(図1-2)。
計画通りに進まなかった理由を聞くと大きく2つが挙げられた。1つは「想定以上の規模の災害が発生したため」「停電が長すぎて復旧作業が予定時間ではできなかった」「サイバー攻撃に対するBCPは策定していなかった」「ネットワーク回線が物理的に切れてしまったり、想定外の事態が発生したりしたため」などBCP計画での想定外の事態が起きてしまったことに対処できなかったことを挙げる声だ。
もう1つは「業務運用の拠点間共有不足」「システムの構築や、維持改良を担当する情報システム部門とシステムユーザー側の実務担当との間で運営に対する認識に隔たりがあったため」など、拠点や部門間での認識不足や運用が徹底されていなかったことを原因に挙げる声であった。
今後BCP計画策定に取り組む企業や見直しを検討している企業においては、このような経験談を“教訓”として計画に盛り込んでいくことが重要だ。
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