2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPAに関連する国内外のソフトウェアメーカー、シンクタンク、導入大手企業などの主要プレイヤーが一堂に会する国内初最大規模のイベント「RPA DIGITAL WORLD 2018 Digital Robot Camp inお台場」が、11月22日に都内(ヒルトン東京お台場)で開催された。
本記事では、トップベンダーやサービス提供企業による独自のソリューションが紹介された「展示ブース」、45分間体験プログラムでRPAやOCRを体感できる「ハンズオンLab」、そして業界初の完全なRPAユーザー主体のコミュニティ「RPACommunity」が主催した「RPA勉強&LT会!RPALT 拡大版」の模様をお届けしたい。
目次
- 1)【展示ブース】高まるOCRへの期待
- 2)【ハンズオンLab】ロボット開発体感を通じたRPAツール選定
- 3)【RPAユーザーコミュニティ】悩みと知恵の共有が日本全体の生産性を高める
【展示ブース】高まるOCRへの期待
展示ブースでは終日、人だかりが絶えることなく、来場者と出展者で活発なやり取りが繰り広げられていた。なかでも興味をひいた2社のブースをピックアップしたい。
NECネクサソリューションズ株式会社
NECネクサソリューションズのブースでは、同社が提供する「被写体認識×OCR×RPA」と複数ロボットの統制管理に優れたRPAツール「Blue Prism」の連携によるソリューションなどを中心に展示を行っていた。また、導入・全社展開に関するミニセッションも設けられるとともに、多様な提供サービスが紹介されていた。
NECネクサソリューションズ 社会ソリューション事業部 サービス第二営業部のマネージャー、黒澤庸孝氏はこうコメントする。「当社はBlue Prismをメインに扱っており、RPA導入前の検証から稼働後の運用や全社展開までを一気通貫でサポートしています。セキュリティとITガバナンスを特に重視しており、お客様には製造業が多いですが、最近では小売流通業のお客様も増えてきています。
今日、当社の展示ブースに来ていただいたお客様とのお話を通じて、前回までのイベントと比べてより具体的なRPAの活用や、活用拡大を目指している会社が多なっていると実感しています」
株式会社Cogent Labs
最先端のAIの研究・開発を元に、ソリューションサービスの提供を行っているコージェントラボ。同社の展示ブースでは、手書き文字の認識率99.22%を達成した研究を元に開発されたAI OCRクラウドサービス「Tegaki」をはじめ、インテルのディープラーニング技術を用いてエッジ・デバイス上で行う手書き文字認識のデモなどが行われていた。
マーケティングの平井洋輔氏は言う。「当社はAIテクノロジーを生かした文字認識や自然言語処理、時系列データ処理のプロダクトを提供していますが、今回のイベントではRPAとの親和性が高いAI OCR文字認識クラウドサービスを中心に、様々なAIの研究成果を紹介しています。
独自のAIアルゴリズムを自社開発してクラウドサービスとして提供するとともに、頻繁にアップデートを実施しながら常に高性能を追求しているのが当社の強みです。今日ブースいらした方々にも、文字認識の精度の高さとスピードに驚いていただいています」
【ハンズオンLab】ロボット開発体感を通じたRPAツール選定
ハンズオンLabでは、各ブースでRPA、OCRツールの45分間体験プログラムが繰り広げられていた。エキスパート(講師)による少人数でのワークショップ形式で、各ブースの講師は大型モニターを使いながらロボットの作成方法などをレクチャー。ツールの解説やロボット開発体験/OCR操作体験を通じて、各ツールの強みや特長を体感できる内容となっていた。ここでは2つのブースをピックアップしよう。
株式会社Minoriソリューションズ
“専門知識は不要、ブロックを組立てるような気軽さでロボット作り”を標榜する同社のRPAツール「MinoRobo」を実際に操作しながら、簡単な自動化シナリオを作成できるプログラムを実施していた。シナリオの内容は、日々の取引先の情報収集作業で、現場利用に最適化されたインターフェースの使いやすさと、安定したロボット動作が体感できるように配慮されていた。
担当者は、「MinoRoboは既に業種業態を問わず幅広い企業に導入いただいており、導入しやすさや使いやすさなどを高く評価いただいています。今後も利用者の声に耳を傾けながら、積極的にバージョンアップを行い、さらなる使いやすさと高性能を追求していきます」と抱負を述べた。
アライズイノベーション株式会社
書類やFAX等の文字をAI(人工知能)で文字認識し、データ化するAI-OCRソリューション「AIRead(エーアイリード)」を提供する同社は、RPAの導入を進める上で、多くのケースで必要となる「紙情報のデジタル化」にフォーカスしたプログラムを展開していた。
その内容は、AIReadの概要説明に始まり、活字・手書きのサンプル帳票の読み取り設定と結果の確認を体感できるもの。参加者は、読み取り項目の位置ずれや複数フォーマットの書類の読み取りも可能なAIReadならではの特徴などを実感していた。
【RPAユーザーコミュニティ】悩みと知恵の共有が日本全体の生産性を高める
デモ&セッションの最後の時間帯に実施されたのが、業界初の完全なRPAユーザー主体のコミュニティ「RPACommunity」主催による「RPA勉強&LT会!RPALT 拡大版」(LT=Lightning Talks)だ。
「RPACommunity」は、誰でも参加大歓迎のユーザーコミュニティであり、2018年3月の発足ながら既にメンバーは1,500人を超えている。主宰するチャラ電Mitz (松岡 光隆)氏は、RPA BANK コミュニティプロデューサーも務めており、そのモットーは、「RPAに踊らされるな!RPAは目的じゃない!単なる手段の一つだ!」。
この日もチャラ電Mitz氏がファシリテーターを務め、RPACommunity運営で声優・歌手の高町咲衣氏が助手を務めた。Lightning Talksは、登壇者による1人5分程度のライトニング・トーク形式で行われ、RPAに関する取り組みやネタ、悩みや言いたいことなどが自由に発せられた。その模様をダイジェストでお届けする。
KDDIウェブコミュニケーションズ社は、RPA導入の目的の1つとしてリスクマネジメントを挙げ、その視点から「ヒューマンエラーの防止」「コンプライアンス違反の防止」「ISMSなどのセキュリティ対策への準拠」というテーマで意見を述べた。また、ハートコア社は同社の業務解析ツール「Cicero」を紹介し、RPAと連携したより効率的な業務改革について語った。
WANTEDLY社からは、同社のRPA導入経緯などが語られた。同社では2018年7月からRPAを本格利用しており、現在ではロボットの数が急増しているという。一方で、ロボットが増えるとフォローが大変になり、フォロー自体の業務が負荷になったことから、フォロー業務自体もRPA化した。登壇者は、「RPAは思っている以上になんでも自動化できる。自動化によりこれまでとは異なる問題に直面することもあるが、それさえも自動化によって解消できてしまう。これぞエンドユーザーコンピューティングの醍醐味ではないか」と力説した。
オートメーションラボ社は、「RPAとAIの共演」をテーマに、紙の書類をテキストデータに変換するだけでは壁にぶつかる理由を紹介。RPAとAIとの連携による「一社に一台超優秀なロボ」を導入する意義などが語られた。
組織としてRPAを上手に活用するためのアプローチをテーマとしたソフトバンク社は、「RPAツールにこれは一番というものはない。目的や使い手のスキル、予算からさっさと決めるのが大切では」と語り、「RPAはまず使って体感してみること。なので“お試し”を上手く使って欲しい」と強調した。その後は、各現場で“師範”を育成することの重要性や、従業員が将来も安心して働けるような本当の働き方改革のあり方について説いた。
Minoriソリューションズ社からは、“普段使いのRPA”を打ち出す同社の自社開発のRPAソリューション「MinoRobo」の特徴などが語られた。特徴は大きく、「PCにインストールするデスクトップ型」「シンプルな画面で簡単に操作」「オブジェクト認識型」の3つだ。
ヴァル研究所からは、経路検索システムとカレンダーが自動連携し、カレンダー登録をトリガーに移動予定も交通費生産も自動化する同社のソリューション「RODEM」が紹介された。ビジネスマンの移動&交通費生産はめんどくさいことばかりであり、RODEMはこの「めんどくさい」から解放したいという思いのもと生まれたという。
メットライフ生命社からは、同社におけるRPA活用ケースが紹介された。登壇者は、「とにかく“全部盛り”を目指してつくるのが大切。ただし、マクロのほうが速いケースも多いので、なんでもRPAでというのは厳しいだろう」とコメント。また最後はこう強調した。「RPAのロボットはあくまでアプリ操作とプロセス実行のエンジンなので、それだけでは大きな価値では出せない。分析ツールなど様々なツールと組み合わせることで力を発揮するものなのだ」
そして、ミスターXからは「下○ロケット RPA編」と題して、UIpathとGoogle Cloud Vision APIの連携により、人物画像やイラストが健全かどうかを判定する“システム”を披露した。ロボットが卑猥と判定するとメールが飛び、メールを受信したRaspberry Piがロケットを飛ばすという仕組みだったが、LT内のデモでは飛ばずに会場は笑いに包まれた。
すべてのLTを終えるとチャラ電Mitz氏は、「ただ作業を行うだけでなく、いかに楽しむかといった考えも大事だなとコミュニティを主宰していて強く思う。楽しみから生まれるものもある。皆の学びの場を提供したい、というコミュニティ設立時の思いはメンバーが増えた今も変わらないので、ぜひ参加していただき、社内でだけでなくコミュニティの場でも共有して欲しい。そして社内ひいては日本全体の生産性の向上につなげていこうではないか」と呼びかけ会を締めくくった。
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