クラウドシフトが生む新たなマーケット“クラウドセキュリティ”の現在地:すご腕アナリスト市場予測(4/5 ページ)
業務システムのクラウド化が進展することで注目されているクラウドセキュリティ。利用するクラウドサービスに応じて実装する方法や選択するソリューションが異なるものの、今回は、IaaSやPaaS、SaaSといったパブリッククラウド利用時に検討したいセキュリティ対策を中心に、現在の市場動向から将来的な予測、その課題まで含めて、クラウドセキュリティを概観していきたい。
クラウドセキュリティ拡大のキーワード「ローカルブレイクアウト」
今回紹介したクラウドセキュリティ、なかでもクラウドセキュリティゲートウェイについては、企業が構築しているネットワーク構成によっては、新たなソリューションがなくともセキュアな環境を維持することが可能な場合も少なくない。例えば、社外からインターネットにアクセスする場合でも、VPNによって社内に設置されたプロキシを経由させているケースだ。この場合、次世代ファイアウォールのようなソリューションでDPI(Deep Packet Inspection)を実施することで、どんなクラウドサービスにアクセスしているのか可視化できる。
ただし、クラウドサービスへのアクセス頻度が高まることでネットワークを圧迫し、レスポンスの悪化を招くことで利便性を大きく損ねることもあるだろう。閉域網での限定的な活用では、DXによる新た価値創造に向けた取り組みを十分に加速させることは難しい。
そんなトラフィック増への対策として注目されるのが、VPNで社内を経由せず直接クラウドへアクセスする「ローカルブレイクアウト」という手法だ。特にモバイルデバイスからローカルブレイクアウトによってクラウドサービスが利用できれば、効率的に業務システムが利用できるようになるため、DXによって得られるメリットも大きなものになるのは間違いない。
逆に言えば、このローカルブレイクアウトが今以上に多くの企業で進むことで、クラウドサービス上での可視化が求められ、そこでクラウドセキュリティゲートウェイのようなソリューションのメリットが大きく生かせることになる。このローカルブレイクアウトの広がりが、クラウドセキュリティ市場においては大きな起爆剤となることだろう。
また自由度高く使うためには、会社から貸与されたデバイスよりもBYODをはじめとした自由なデバイスでクラウドサービスにアクセスできた方が利便性はより向上する。企業側が強制的にデバイスへのセキュリティ実装が難しいBYOD環境の広がりも、クラウドセキュリティゲートウェイ導入が進む大きな一助となるはずだ。
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