RPAブームに陰りか 国内RPA市場規模予測とユーザー企業の挙動
2018年度の国内RPA市場規模は、2017年度と比較して大幅成長を見込む。しかし、下半期にはリスクや課題が浮き彫りになり、ブームに陰りが見えた。今後の展望は?
働き方改革を背景に、ホワイトカラーの業務を自動化するソフトウェアロボット、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)が注目を集める。矢野経済研究所の調査によれば、2018年度の国内RPA市場規模は前年度比134.8%増の418億円と予想する。
RPAブームとも呼べる盛り上がりを見せた2018年だが、下半期にはそのブームに陰りが見えた。同社は、今後の同市場の動向をどう予測しているのか。ユーザー企業がRPA製品やソリューションの事業者に求めているものとは。
RPA市場は拡大を続けるも、2018年下期はブームに陰りが
矢野経済研究所は、国内のRPA市場調査の結果を発表した。
調査によれば、2018年度の国内RPA市場規模は前年度比134.8%増の418億円と予測する。また、カテゴリー別の予想では、RPAツール製品が前年度比164.7%増の135億円(構成比32.3%)、RPA関連サービスは前年度比122.8%増の283億円(同67.7%)で着地する見込みだ。
同社は2018年度における国内RPAの市場動向について、次のように分析する。2018年上半期は、働き方改革が追い風となり、RPAの認知度が向上した。大手や中堅のユーザー企業を中心にRPAの導入が増加している。さらに海外製RPA製品の課題となっていた、インタフェースやドキュメント、サポート体制の日本語対応が進み、導入のハードルも下がった。
一方、下半期になると、過度な期待を持ったユーザー企業が、RPA導入後に失望感を感じるケースが散見され、RPAの課題やリスクが浮き彫りになった。これを背景にブームは収束の兆しを見せ、ユーザー企業の多くは、導入したRPA製品の再検討を行う他、RPA活用を前提とした環境や業務、ガバナンスの整備に着手している。さらに、AIやOCR、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)といった周辺技術との連携によって、精度の向上や自動化領域の拡大などに取り組むケースも見られる。
なお、RPA市場に参入する企業は増え、多くのSIerやITコンサルティング企業がRPA事業を開始している。その他、自社サービスにRPAを組み込んだSSC(シェアードサービスセンター)事業者やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業者、RPA人材の育成や派遣事業を展開する人材派遣業者など、多様な事業者が市場に登場している。
2022年は2017年度比4.5倍の規模に、RPA関連サービスの伸び率が上がる
矢野経済研究所は、2019年度以降に大手や中堅ユーザー企業の多くが、何らかの領域でRPAの導入を行う可能性が高いと分析する。
調査によれば、国内RPA市場規模は、2022年度に802億7000万円まで拡大すると予測できる。これは、2017年度における市場規模の約4.5倍だ。カテゴリー別にみると、RPAツール製品が170億2000万円(構成比21.2%)、RPA関連サービスは632億5000万円(同78.8%)に成長する見通しだ。
同社は、RPAツール製品は、他のパッケージソフトウェアと同様に、価格競争によって単価が下落していくと指摘。また、RPA製品が企業に導入された後は、活用業務のプロセス改善コンサルティングや運用保守サービスが拡大する見通しで、RPAツール製品に比べて、RPA関連サービスの伸び率が高くなると予測する。
ちなみに、RPA製品やソリューション事業者に対するユーザーのニーズとしては、「投資効果の可視化」「組織運営や業績向上に直結する成果」「高度なコンサルティング能力」を求める声が増えると予想する。
同調査は2018年10月〜12月の期間で、RPA製品・ソリューション提供事業者およびRPA関連団体を対象に、同社専門研究員による直接面談および文献調査を行ったものだ。
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