実例と実演で知る「プロセスマイニング」の効果と実際:プロセスマイニング入門〜マニュアルのない業務の真実を「発見」する技術(2)(4/4 ページ)
60日分の業務をたった5日に圧縮した実績もあるプロセスマイニング。実際に使う場合はどういう手順でどんな分析を行うのでしょうか。具体例と6つの分析アプローチを紹介します。
(4)所要時間を評価する「パフォーマンス分析」
パフォーマンス分析では、プロセスの所要時間の視点でプロセスを評価する。その他、コストなどあらかじめ設定したKPIに基づく評価を行うことができる。
下図は、myInvenioのダッシュボードに表示されるパフォーマンスの数値である。「Average case lead time」に注目いただきたい。これは平均のリードタイムであり、91日23時間となっている。
ところが、最短のリードタイム(Minimum case lead time)は20日、一方、最長リードタイム(Maximum case lead time)は、157日11時間であり、案件ごとのばらつきが大きいことが分かる。また、リードタイムの中央値である「Median case lead time」も確認すると、93日1時間となっている。
分析者は、これらの数値を見ながら、どこにボトルネックがあるのか、どうやったらリードタイムを短縮できるのかのヒントを得るために分析を進めていく。
(5)担当者別のパフォーマンスを評価する「アクテビティマップ」
同じ業務プロセスであったとしても、誰が担当するかによってリードタイムや質が変わってくることは言うまでもないだろう。ボトルネックが発生している原因を追及していくと、手順の問題だけではなく、担当者の経験やスキルが影響していることも多い。
アクティビティーマップは、各活動を誰が担当しているかを視覚的に確認できるものである。
上のアクティビティーマップをご覧いただきたい。例えば、「ローン審査」のところでボトルネックが発生していたとして、このアクティビティーマップをみると、ローン審査という業務と線で結ばれているスタッフ、すなわちローン審査に関わっているのは、李、酒井、遠藤、小笠原、関口、市川、大迫、扇原、川島、大津の10人であることが分かる。ここからさらに深掘りしていくと、この10人の誰かが、ボトルネックを生み出している張本人であることが分かるかもしれない。
(6)チームのパフォーマンスを評価する「ソーシャルネットワーク分析」
ソーシャルネットワーク分析は業務プロセスに関わるさまざまな部署の担当者同士の結び付き、すなわち協業や連携の度合いを明らかする。
例えば、最もリードタイムの短い、パフォーマンスが優れているスタッフが誰か、すなわち「高パフォーマンスチーム」、逆に、リードタイムが最も長い、「低パフォーマンスチーム」を構成するスタッフが誰たちなのかを把握できれば、組織の再編成を行う際に大きなヒントとなるだろう。
本稿ではプロセスマイニングツールの1つである「myInvenio」の機能を使ったプロセスマイニングの実際を解説した。ツールの操作は決して複雑なものではなく、また分析結果を視覚的に評価できるため、エンドユーザーが使いこなすことは難しくない。
本当のプロセスマイニングの「難所」は、データインポート前のイベントログデータの抽出とクリーニングおよび析結果の解釈と改善施策の立案と実行という、ツール活用の前後にある。これらについては第3回で解説する。
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