国内ITサービス市場、成長と引き換えにサービス事業者が抱える課題
2018年の国内ITサービス市場は、5兆6664億円に着地したとみられる。同市場は、2019年以降も緩やかな成長を継続すると予測できる。
システムの刷新やクラウドへの移行、業務プロセスの自動化――デジタルによる変革に取り組む企業は多い。この影響で、国内ITサービス市場は2019年以降も緩やかな成長を継続するとみられる。しかし、IDC Japanによれば、ITサービス事業者は、プラスの側面だけをみてはいけないという。
IDC Japanは、日本における国内ITサービス市場予測を発表した。これによれば、国内ITサービス市場は2019年以降も緩やかな成長を継続し、2023年には6兆408億円になる見通しだ。
2018年の同市場は、前年比成長率2.1%の5兆6664億円に着地したとみられる。2016年以降、金融や公共/公益における大規模プロジェクトが終息に向かい、同市場の成長率は1%台にまで鈍化した。2018年もその影響が残ったものの、製造や流通におけるIT投資の拡大により、成長率は2%台にまで上昇した。
IDC Japanによれば、2019年以降はデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業が増加し、レガシーシステムの刷新やクラウド環境への移行、業務プロセスの効率化や自動化の取り組みが進むことで、ITサービスの支出はさらに拡大。国際的大型イベントもこの支出拡大に寄与するとしている。一方、2021年には反動減となり、結果的に2018年〜2028年の国内ITサービス市場の年間平均成長率(CAGR)は1.3%で推移すると見込む。
同社によれば、DXに取り組む企業の増加は、ITサービス事業者にとって、新たな事業機会が生まれるというプラスの側面だけでなく、求められるサービスの内容や形態、提供の手段や方法論に変更が生じることで、ITサービス事業者自身も従来のビジネスモデルからの変革を迫られる側面も有する。
同社 ITサービス リサーチマネージャーの木村聡宏氏は、「DXで重要なことは、継続的に実践し、そこで得た経験を生かすことである。ITサービス事業者は、企業のDX推進を支援するパートナーとして、自らのDXに率先して取り組むべきである」と述べた。
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