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クラウドRPAで実現する誰でも使えるRPAと新たなワークスタイルの創造――BizteXが描くビジョンとは

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RPA BANK

オフィス業務効率化の切り札であるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の利用は、まず大企業において先行し、今後は中小企業にも広がっていくと考えられる。そこで課題となるのが、コストや開発スキルの不足だ。そのようなハードルを乗り越えるべく開発された、“誰でも使える”を標榜するクラウドRPAツールが「BizteX cobit」だ。2017年7月のリリース以来、のべ500社近い企業・団体に採用されている。

開発元であるBizteX株式会社は2018年11月14日、クラウドRPAをテーマとしたカンファレンス「X-CONFERENCE(クロス-カンファレンス)」を都内で開催した。同社代表取締役 Founder/CEOの嶋田光敏氏が基調講演で語った、開発の経緯やBizteX cobitの特徴、今後のビジョンなどについてダイジェストで紹介したい。


BizteX株式会社 代表取締役 Founder/CEO 嶋田光敏氏

■記事内目次

  • クラウド型RPAで都市と地方、大企業と中小企業のギャップをなくす
  • 業務によって使用するRPAツールの使い分けが当たり前に
  • 今まさに、第三次労働革命が訪れようとしている

クラウド型RPAで都市と地方、大企業と中小企業のギャップをなくす

基調講演にて嶋田氏はまず、自身の経歴と創業に至った経緯について説明。香川県大野原町で生まれ、サッカー少年として育った嶋田氏は、J-PHONE(ジェイフォン)四国に入社してキャリアをスタートする。J-PHONEはその後ボーダフォンに買収され、さらにソフトバンクへと事業譲渡されるが、嶋田氏は一貫して法人向け事業に携わってきた。

その後2007年に東京勤務となったことが、事業立ち上げへの転機となった。「四国と違って東京には圧倒的にヒト・モノ・カネ・情報が集まっている。ITを使ってヒト・モノ・カネ・情報を流通させることによって、地方と中央のギャップをなくすことができるのではないか」。起業へとつながる思いが芽生えた瞬間だった。

そして、ソフトバンクで営業戦略や新規事業開発の責任者として活躍しているとき、定型業務の増大という課題に突き当たる。「定型業務が増えて本来やりたいことに対して時間を使えないこと」に大きなギャップ」を感じたとしながら、「そのソリューションとしてRPAの存在を知った」という。

「しかし、当時のRPAはオンプレミス型で、コストが高く、ロボットの構築には専門的な知識が必要でした。RPAは大企業にしか向かないサービスだと感じました」

IT武装が行き届いていない中堅中小企業にRPAを届けたい。その思いが募り、2015年にBizteXを創業。「テクノロジーで新しいワークスタイルをつくる」をミッションに掲げ、その思いに共感してくれたメンバーとともに開発を急ぎ、2017年7月に国内初となるクラウドRPA「BizteX cobit」をリリースした。

RPA市場がCAGR(年平均成長率)50%を超える勢いで成長するなか、金融業を中心とする大手企業や自治体で導入が進んでいる。今後は中堅中小企業へ、そしてサービスや小売りなどさまざまな業種へと広がっていくフェーズになるだろうと述べる。

そしてRPAが浸透し、RPAスキルを身に付けた人材が増えていくことで、定型業務が減り、業務を管理するコストも減っていき、結果として組織構造がフラットになっていくと想定している。また、ムダな時間がなくなることで、コア業務のクリエイティビティが高まり、それに合わせたマネジメントが求められるようになる。

RPAの普及によって、マネジメントスタイル、ワークスタイルが変わるのだ。嶋田氏はその先にある未来として、たとえば従業員は4時間だけ働いて、空いた時間で家族との時間を過ごしたり副業をしたりして、豊かなライフスタイルをつくっていく時代が来る、と予測している。

業務によって使用するRPAツールの使い分けが当たり前に

RPAがワークスタイルにもたらす変革へ期待が高まるが、まだ課題がある。知識や言語、コストの問題だ。このハードルを解決するために開発したのが「BizteX cobit」だ。嶋田氏が考えるBizteX cobitの強みは次の4つだ。

  1. クラウドベースでサービスを提供しているために、専用のパソコンがいらないこと。
  2. クラウドベースであるためにパソコンを閉じてもロボットが常時稼働してくれること。
  3. どのアカウントがどのロボットを使って作業をしているのか、組織管理機能で可視化できること。
  4. サービスのユーザーインターフェースを簡単にしたことで、ロボットの作成、運用コストを大幅に下げたこと。

これらの特徴により、BizteX cobitを導入した企業は、現場の業務部門だけでロボットの作成から運用・管理まで完結できるようになった。企業によってそれぞれ運用方法に違いはあるが、昨今では、基幹システムにはオンプレミス型のRPAを使い、現場の細々とした業務にはBizteX cobitを使うといった“二刀流”を実施している企業も増えている。

2017年7月のリリース以来、着実にユーザーを増やしてきたBizteX cobit。現在は、PoCを含めて累計500社近い企業が導入し、利用アカウント数2,500超、稼働ロボットは1万超の実績を誇る。なかでも広告代理店や人材系、サービス系の事業者の利用が多い。ここで嶋田氏はいくつかのユーザー事例を紹介した。

サイバーエージェントのインターネット広告事業本部では、業務改善プロジェクトの一環としてBizteX cobitを使い、毎日行っているレポートの作成やデータ収集といった業務を自動化・効率化した。人材サービスのネオキャリアでは、採用代行(RPO)事業部において導入し、採用の進捗管理や説明会のメール送信といった事務作業を70%以上削減した。MICEやプロモーションなどの事業を展開するJTBコミュニケーションデザインでは、リスト作成や交通費精算業務でBizteX cobitを使い、500時間以上の工数削減を実現した。

嶋田氏は今後の開発について、「自社でサービス開発しているので、圧倒的なスピードでどんどん機能を追加していく」と説明した。たとえば、ユーザーからの要望に応えるかたちで、「固定IP連携」や「API連携」といった機能を次々とリリースしている。今後はユーザーインターフェースの改善も実施していく予定だ。

今まさに、第三次労働革命が訪れようとしている

基調講演の最後に嶋田氏は、将来に向けたビジョンをこう語った。

「シンギュラリティを迎える今、第三次労働革命が訪れようとしています。そのキーとなるRPAを当社は再定義して、誰でも使えるものにして、皆さまに提供していきます。そして、新しいテクノロジーによって新しいワークスタイルをつくることを実現していきます」

基調講演の後には、「SPEEDA」「NewsPicks」などのサービスを展開する株式会社ユーザベース代表取締役社長の稲垣裕介氏との対談が行われ、テクノロジーで社会にどのような新しい価値を提供していくか、両社が思い描く理想像を語り合った。RPAの普及が加速し、ワークスタイルの変革期がまさに訪れていることを来場者に印象付ける基調講演となった。

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