屋外を含む広大な敷地、不特定多数のSkype通話はどうさばく? ICUキャンパスの場合
国際基督教大学がArubaの無線LAN機器を導入した。広大なキャンパスのネットワークを集中管理することで、どのような効果があったのか。
広大な敷地内に点在する設備、時々で人の動きが変わり、場所ごとの密集度が変わる環境。大学構内の通信設備管理状況は建築現場や工場敷地内などの通信環境整備にも参考になる。
低学年からのICT教育が重視されつつあることから全国の公立小中学校で、インターネットへの接続設備として無線LANの導入が進む。大学などの高等教育機関ではインターネット黎明(れいめい)期から無線LAN環境が整っていたが、大学構内で学生や職員向けに無線LANを提供するようになったのは、ここ数年のことだろう。
そこで課題になるのが、各学校で機器間の干渉や帯域コントロールなどネットワーク設備の管理運用をどうするか、という問題だ。国際基督教大学(ICU)は、こうした運用負担を軽減し、快適にネットワーク機器を利用できるようにするために、キャンパス内のネットワークを集中管理できる無線LAN機器を導入した。不特定多数のSkype利用や、学校内に持ち込まれたWi-Fi機器(いわゆる野良Wi-Fi)に関して課題を抱えていたICUだが、果たしてどのような効果が得られたのか。
Aruba, a Hewlett Packard Enterprise company(以下、Aruba)は2019年4月24日、国際基督教大学(ICU)がArubaの無線LAN機器を導入したと発表した。63万平方メートルに及ぶ広大なキャンパス内のネットワークを集中管理して、運用負担の軽減が目的。
今回ICUが導入した無線LAN機器は、モビリティーコントローラー「Aruba 7000シリーズ」、IEEE 802.11ac Wave2対応の無線LANアクセスポイント「Aruba AP-315」と「Aruba AP-305」、IEEE 802.11ab/g/n対応の無線LANアクセスポイント「AP-105」、Layer 3スイッチ「Aruba 3810」、Layer 2スイッチ「Aruba 2540」。モビリティコントローラーは冗長構成を取り、キャンパス内には既存のものを含めて約230台のアクセスポイントを設置した。
ICUでは、無線LAN環境を強化したことで、ユーザー数が多い教室や講堂などでもSkype for Businessといった、帯域が必要でネットワーク負荷の大きなアプリケーションを快適に利用できるようになったとしている。さらに、学校内に持ち込まれたWi-Fi機器によるチャネル干渉を自動調整したり、利用状況を可視化したりすることも、モビリティコントローラーで可能になった。
ICUは今後、古いアクセスポイントを計画的に入れ替えつつ、事務室や会議室など教職員が主に利用するエリアの無線LAN環境を拡充強化するという。また、無線LANへのアクセス時にユーザーを認証したり、ユーザーの振る舞いを見てネットワーク接続を制御したりする機能を備えたArubaの機器の導入も検討するとしている。
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