ついに発生、USBキラーがもたらした「大量殺りく事件」とは?:511th Lap
企業からのデータ漏えいの「主犯格」としてUSBメモリが糾弾されて久しい。カンタンに社内のデータを持ち出せるし、バックアップのつもりで重要データを保存したUSBメモリをウッカリ落としたり紛失したりもする。
「USBメモリは利用はもちろん持ち込みすら禁止」という企業は少なくない。場合によってはUSBメモリを社用PCに接続するだけで警報が発報されたり、現場によっては赤色灯が回るということもあるとか。
「USBキラー」をご存じだろうか。USBメモリによく似た形状をしていて、USBポートに差し込むだけでPCやスマホに致命的なダメージを与える恐怖の存在だ。ついにUSBキラーによる「大量殺りく事件」が発生してしまった。
米ZDnetの報道によれば、27歳の元学生が逮捕された。ニューヨーク州オールバニーにあるセントローズ大学で、USBキラーを使ってWindows PC59台、Mac7台、USBポート内蔵のディスプレイと演壇を破壊してまわった容疑だ。
元学生は、一連の破壊行為をiPhoneを使って動画に収めていた。これが証拠になったが、まだ動機は明らかにされていない。彼はインドからMBA取得のために学生ビザで同大学に留学し、2017年に卒業した。
大学側の損害は、破壊されたPCなどの交換費用として5万1109ドル、事件の調査費用として7362ドルの合計5万8471ドル(約655万円)とのこと。裁判は2019年8月に判決が下される見込みで、有罪となれば罰金25万ドル(約2800万円)、10年以下の懲役に処せられるだろう。
ところで、どうやってUSBキラーは対象を「殺害」するのか。外見こそUSBメモリにそっくりだが、内部に電気をためられるコンデンサと高電圧、高電流パルスを発生させる回路が組み込まれている。
最新のUSBキラーならば、最大200ボルトものパルスを1秒間に12回も発生して対象のデバイスを破壊するのだ。USBポートにサージ機能が搭載されていない場合は、ほぼ間違いなくデバイスは破壊される。
しかもUSBキラーは、ネット通販などで簡単に購入できる。「デバイスおよびUSBポートのサージ機能をチェックするツールであって、悪用しなければ特に法に触れるような製品ではない」というのが表向きの理由だ。
USBキラーの存在は秘密でも何でもなかったが、ここまで大規模の事件が起こることもなかった。模倣犯による同様の事件が起こる可能性がある。何らかの対策が必要なのかもしれない。
上司X: 「USBキラー」で大きな犯罪行為があったという話だよ。
ブラックピット: テロ行為みたいなものですが、一体、彼に何があったんでしょうね。
上司X: 分からないな。それよりUSBキラーだ。何とかしないとイカンのではないか。
ブラックピット: 規制すべきって話ですか? そりゃムリでしょう。
上司X: 何でだよ?
ブラックピット: 包丁やナイフは普通に売ってますよね。たとえ殺傷事件があっても包丁自体に罪はない。使った人間に罪がある。それと同じですよ。
上司X: そりゃ正論かもしれないが……。
ブラックピット: そもそもUSBキラーには「サージ機能の確認」という大義名分があるわけで。僕も1台ぐらい買っておきましょうかね。何かの役に立つことがあるかもしれません。なーんて。
上司X: おいおい、笑えないジョークだな。本当にイタズラや悪用だけはやめておくれと心から願うよ。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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