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RPAは導入期から普及期に。先行導入企業の事例にみる、スケール化の法則――NTTデータイントラマート主催セミナーリポート

2021年9月13日、RPA BANK はキーマンズネットに移管いたしました。
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RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は検討時期から導入時期、さらには普及期へとそのステージを移している。ところが企業からは、「RPAは導入したものの、全社にスケールするには課題が多い」「改善効果が部分的で期待通りの効果を上げられない」という声もでてきている。

RPAによって業務の生産性向上や働き方改革を実現した先人たちは、どのようにこの課題を乗り越えてきたのか。いち早くRPAを導入し、スケール運用に取り組んできた住友林業情報システム株式会社や日本生命保険相互会社などの企業事例が紹介された「Accel Conference 2nd」(2019年2月21日、NTTデータイントラマート主催)の模様を一部抜粋して、そのノウハウをお伝えする。

■記事内目次

  • RPA成功企業の法則は「内製化」と「ロボットクリエイターの活躍」である
  • RPA先行導入の3企業が事例で語る、スケール化を成功させた秘訣とは
  • 運用基盤の重要性。RPAとBPMの組み合わせは必須になる

RPA成功企業の法則は「内製化」と「ロボットクリエイターの活躍」である

最初のセッションで登壇した一般社団法人日本RPA協会 代表理事 大角 暢之氏は、RPA市場の現状について「上場企業への導入率は100%に迫るなど、RPAは普及期へと移っている」と語る。

そして、RPA導入を成功させる企業には一定の法則があると解説する。その法則とは、まず内製が多いこと。RPAは外部に委託するのではなく内製化しなければ、業務をコントロールできないからだ。

業務は生き物であり、RPAに部分的に任せたとしても、最終的には人がコントロールする必要がある。さらにもう一つの成功法則は、「RPA女子の活躍と、RPA女子に活躍の場を与える上司の姿」と言う。

成功の法則?:ロボット運用の内製化

成功の法則?:ロボットクリエイターの育成と活躍の場の提供

ここでRPA/BPM女子プロジェクト 会長でMAIA CEOの月田 有香氏が登壇し、各種メディアでも注目されているRPA女子プロジェクトの紹介が行われた。同プロジェクトは、RPAの専門的スキルを身に付けた女性が、RPAの自走化を目指す企業をリモートまたは現場でサポートする取り組みだ。

3月末までに全国で1,000人のRPA女子を輩出する見込みで、新たに「エンタープライズRPA女子プロジェクト」も発足した。月田氏は「大企業内で活躍するRPA女子と、リモートワークを行っている主婦が主体のRPA女子を連携させ、企業のRPA運用を支援する」と意気込みを語った。

RPA先行導入の3企業が事例で語る、スケール化を成功させた秘訣とは

次に、住友林業情報システム、日本生命保険、グッドライフの3社が登壇し、RPA導入の取り組み事例やRPA開発者育成プログラムの紹介を行った。

住友林業情報システム

住友林業グループの住友林業情報システムは2014年からRPAを導入し、2018年より住友林業グループ全体への適用をスタートした。スケールまでに時間がかかったのは、これまでRPAを運用したなかで出てきた課題や失敗を整理し、その解決と運用技術基盤の構築に手間と時間をかけたためだ。

同社が4年間の検証と失敗から学んだうえで、スケールの前に取り組んだことは、“運用基盤技術を構築すること”であるという。具体的な取り組みは、「ロボットのパーツ化技術」「ロボットの運用ポータル技術」だ。「パーツ化」とは、1業務ごとにロボットを作るのではなく、細分化された役割を担うロボットをパーツとして扱い、その組み合わせでロボットを構築し、共通部分は使い回す方法だ。

「運用ポータル」は、ロボットの起動や権限の管理、稼働状況の把握などの機能を担う。同社ではパーツ組み立て基盤やロボポータル基盤として、NTTデータイントラマート社の「intra-mart」を利用している。

住友林業情報システム ICTビジネスサービス部 シニアマネージャーの成田 裕一氏は、「大規模にスケールし、さらに安定した運用維持を求めるなら、技術基盤を構築した上で体制・ルールを作成することをお勧めする」と語った。

RPAをスケールさせるポイント?:ロボットのパーツ化

RPAをスケールさせるポイント?:ロボット運用ポータル基盤の構築

日本生命保険

日本生命保険では、「デジタルプロセスビジョン」を掲げ、情報取得、情報確定、処理に至る事務プロセスをできる限りデジタル化し、人の処理を極小化することを目指している。その背景にあったのは、「事務のローカライズ」「属人化」「外部委託事務のブラックボックス化」などの事務課題だ。

この課題を打破して効率化を実現するためには可視化が重要と考え、BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント:ビジネスプロセスを改善する手法)を活用し、RPAやAI-OCRを含めたシステム化をすることで解決を見出そうとしてきた。

課題解決のための具体的な施策として、同社は「業務の可視化」などを行った。これは、国際標準であるBPMN(ビジネス・プロセス・モデル&ノーテーション:業務を実行する際に、関係者が理解しておくべき、仕事の進め方をフローに記述する手法)を用いて、業務フローを可視化する試みだ。

また、「標準化」の施策としては、BPMNで定義したフローを、BPMS(ビジネス・プロセス・マネジメント・システム:業務プロセスの実行・管理を支援する情報システム)であるintra-martに登録して、事務の流れをコントロールする実証実験を実施中だ。その各事務工程にはもちろんRPAが活用されている。

プレゼンでは、実際にintra-mart BIORA(BPMと、デジタル技術であるIoT・OCR・RPA・AIを連携するソリューション)を組み合わせて、手書きの書類がデジタル処理されていく様子が動画により解説された。日本生命保険 企業保険契約部 企業保険総務課課長補佐の小泉 絵理氏はプレゼンの最後に、「事務プロセス全体の改革を担うBPMを使いこなし、ロボットと一緒に事務現場を変革していきたい」と今後の展望を語った。

RPAをスケールさせるポイント:属人化しブラックボックス化する現場業務の「可視化」と「標準化」。BPMNで可視化した業務フローを、BPMSで事務の流れをコントロール

グッドライフ

不動産会社の株式会社グッドライフからは、RPA事業部 部長の竹内 瑞樹氏が登壇。竹内氏はかつて株式会社LIXILに在籍し、RPA担当リーダーとして社内に600人以上のRPA開発者を育成した実績を持つ。竹内氏は、RPA導入・展開において押さえるべきツボについて解説した。

「ロボット開発は、情報システム担当者ではなく現場担当者が行った方がメリットは大きいです。そこで問題となってくる品質、セキュリティ、保守性などの課題は、RPA運営部隊を作ってカバーする必要があります。現場開発者を育成し、安全に開発される仕組みができれば、活動は継続的に回り続けます」

グッドライフではRPA開発スキル研修や開発サポートを行うロボティクス事業を展開している。RPAとBPMを連携させた活用方法の研修や開発サポートについても検討しているという。

RPAをスケールさせるポイント?:ロボット開発は、情報システム担当者ではなく現場担当者に

RPAをスケールさせるポイント?:ロボットの品質、セキュリティ、保守性は、ロボット運用部隊

後半のセッションでは、「業務の生産性を飛躍的に高めるRPA/BPM活用とデジタル化を踏まえた業務改革人材育成」と題して、一般社団法人日本ビジネス・プロセス・マネジメント協会 理事 横川 省三氏と株式会社日立ICTビジネスサービス 保科豊氏、相良翔子氏らにより、RPAとBPMの果たす役割についての解説が行われた。

そして最後のセッションでは、RPAのスケール化を支援するNTTデータイントラマートのBPM基盤「intra-mart Accel Platform」と「intra-mart BIORA」の紹介が行われた。

本セミナーで紹介された複数のエンタープライズ企業のRPA導入・活用事例に共通しているのは、RPAを活用しやすくするための運用基盤を持っていることや、RPA開発担当者を育成する仕組みを整備していることだ。また、RPAを導入する際に、BPMが重要な役割を果たすことについても強い印象を残すことになった。参加者にとって、RPAスケールのヒントを知る有意義な機会となったに違いない。

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