AI型コールセンターの「予測エンゲージメント」、何ができるようになるか
誰にいつどの商品を推薦すべきか、を即時に判定する人工知能(AI)を搭載したコールセンターソリューションが登場。リアルタイムで行動を分析してペルソナを推定するという。
ジェネシス・ジャパンが人工知能(AI)を活用したクラウド型の「予測エンゲージメント」サービス「Altocloud」を日本国内で提供開始した*。「エンゲージメント」は場面や用法によって複数の意味を持つが、ここでいうエンゲージメントは製品やサービス、あるいは企業そのものに対する顧客の信頼やよい関係性を構築することを意味する。
進むコンタクトセンターのAI活用
Altocloudは同社が提供するクラウド型コンタクトセンターソリューション(「PureCloud」「PureConnect」「PureEngage」)と連携して利用する。Webサイトの閲覧や操作、社員との会話といった、複数のチャネルの行動をリアルタイムに把握する。そしてこれら顧客の情報から得られる成果を、AIによって事前に設定したペルソナ(その商品の典型的なユーザー像)と照らし合わせることでリアルタイムにスコアリングする。
この情報を基に、商品の購買やイベントへの申し込み、旅行の予約、問い合わせへの回答といった企業にとって望ましい結果につながる行動を予測。最適なタイミングで電話やチャット、クーポンの配布といった購買を促すための支援策を高い精度で提供することで、顧客とのエンゲージメントを高める。エンゲージメントの成果についてはAIが分析し、常に最適な購買支援情報を提供できるようにする。
さらにAltocloudはPureCloudやPureConnect、PureEngageと連携させることで、電話やチャットなどによる顧客対応が可能になる。その際、電話やチャットのオペレーターに顧客のWeb上での行動履歴や成果予測を提供するので、オペレーターは顧客の行動履歴を把握した上で対応でき、オンラインセールスのコンバージョン率向上や問題解決までの時間短縮を図れる。
なおジェネシス・ジャパンによると、海外でAltocloudを既に導入している企業では、セールスやマーケティングのスタッフ増員なしにカスタマーエンゲージメント率を約80%高めたり、ECサイトでのカート放棄率を30%減少させたりといった成果が出ているという。
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