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お前もか! Siriとの会話が第三者に盗み聞きされている疑惑が浮上:524th Lap

セキュリティやプライバシー保護にはかなり厳格な態度をとってきたAppleが、Siriの音声データを利用者の意図しない方法で使っていた可能性があるという。テロリストのスマホロックすら拒んできた会社が、まさかそんなことをするなんて。

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 スマートスピーカーに向かってナニゴトかを発声して音声で操作したり、スマートフォンの音声認識機能を使って文字入力したりすることは、もはや生活の一部分になっていると言っても過言ではない。

 Googleの「Googleアシスタント」やAmazonの「Alexa」、そしてAppleの「Siri」と各社多様な音声アシスタントを取りそろえてユーザーの音声操作をサポートしている。そのぐらい需要があるということになるだろう。こういった状況の中で、ちょっと気になるニュースが聞こえてきた。

 どうもSiriが、ユーザーとのやりとりを勝手に録音して、それをAppleおよびAppleの社外取引先が聞き取り、分析しているという。あれ? こんなニュース前にも聞いたことがある気もするのだけど…… 果たして真相は?

 今回のウワサを報じたのはイギリスの『The Guardian』紙だ。同紙のWebサイトで記事が掲載されたのは2019年7月26日のこと。それによるとSiriがユーザーとの対話を録音しており、それを人間が聴き取っているのだという。

 同紙の取材を受けたAppleによれば「録音して分析するのは世界中で毎日Siriが聴き取っている音声の1%未満であり、ほんの数秒の会話」なのだという。当然、それらの音声データはSiriの性能向上のために活用される。まあその程度なら……と思いきや、同紙のもう少しツッコんだ取材でさらなる深刻な事態が判明した。

 匿名のApple関係者の証言によれば、Appleが入手している音声はSiriを使うべくユーザーが普通の手段で起動して音声コマンドを入力したときだけではなく、ちょっとした誤作動でSiriが起動し、その後の数秒間、特に意味のない会話がなされているときにでもその音声を録音してデータを転送するというではないか。

 確かにSiriはうっかりするとすぐ起動する。デフォルトでは日本人が拙い発音で「Hey Siri」と話しかけてもあっさり起動する状態になっているから、ユーザーによってはSiriの音声起動をオフにする設定を施しているかもしれない。ちょっと古めの「ホームボタン」があるタイプのiPhoneだと、ポケットやカバンに入れておくだけで何かの拍子でボタン長押し→Siri起動というような現象も起きがちだ。

 匿名のApple関係者は、誤起動のあとSiriは30秒ほどの音声を録音してしまうことがあり、その場合「医者と患者が診察で話している内容や、麻薬取引の現場でのやりとりを聴き取ってしまうケースもあり得る」のだという。関係者によれば、こういったケースでは位置情報や連絡先情報、アプリ情報といったユーザーデータも含まれていることがあり、ときに事件性のある事態に発展しかねない。

 『The Guardian』紙の取材に対してAppleは「Siriを介して収集した情報はユーザーの個人情報とはひも付いていない」と話した。まあ当然の話よね……と思いきや、匿名の関係者によれば「会話をしているユーザーが誰であるか、どこに住んでいるかを特定するは必ずしも難しくない」と証言したという。しかもAppleの外部企業がSiriのデータを分析していて、そこではあまり審査を受けていない関係者がかなり幅広くデータを参照できる環境にある、というではないか。

 冒頭でも軽く触れたが、ご存じの通り、こういった話は、既にAmazonのAlexaでも報道されている。その後の報道を見る限り、大きな問題は起こっていないようだが、SiriのケースではAppleの回答と関係者の証言が乖離(かいり)しているのが気になるところだ。

 またAmazon AlexaとGoogleアシスタントについては、ユーザーが音声アシスタントを使ったとしても、会話データを品質向上のために送信しない設定にすることも可能であるが、今のところSiriにはそういった設定はない。Siriについては、今後何らかの問題が起こらないか注目に値するだろう。「音声アシスタントはやっぱり危険」なんていう風潮にならなきゃいいが。


上司X

「Siri」が、ユーザーの音声データをわりと幅広く自由に保存してどうこうしていた、という話だよ。


ブラックピット

いやあ「Siriよお前もか」と言いたくなりますね。


上司X

まあ、Siriで例に挙げたような音声データが分析されちゃう可能性っていうのはあくまで最悪のケースであって……。


ブラックピット

いやいやそのご意見はヌルいと思いますよ! 実際に音声データを抜いて品質向上のために使っているということはAppleも認めていることなんですからねえ。


上司X

まあ何かあったら遅いということにはなるだろうなあ……。あ、ちなみにSiriの誤起動というか過敏な起動は特に「Apple Watch」と「HomePod」で起こりやすいそうだ。


ブラックピット

HomePodもそろそろ日本で発売されるそうですねぇ。……ってそうじゃなくて、今回の問題の1つはやっぱりAppleが委託したとはいえ、会話データを外部企業に渡しているというところじゃないですかねえ。しかも審査を受けていない人がたくさんとかどうとか。


上司X

確かにそれはなあ……。


ブラックピット

でもどうせ「まあ実害は今のところない」とか言っちゃうんでしょう? そういうの、もういいですから。自分とSiriとの熱いトークが第三者に聞かれていると思うだけでもうムシズが走るってもんですよ! 違いますか!?


上司X

いや、キミ聞いてた? 別にSiriと交わした熱いトークが漏れるわけじゃなくて「極めてプライベートな話をたまたまSiriが拾っちゃってそれが問題になる」ってことを話してきたつもりなんだが……。まあいいか。キミの話し相手はSiriばかりというのは何度も聞いてきたし(笑)。熱いトークが漏れないように気を付けような。

川柳

ブラックピット(本名非公開)

ブラックピット

年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)

昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。

上司X(本名なぜか非公開)

上司X

年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)

中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。


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