Dockerブームはウソだった? 1年たってピタリと止まった導入率
IDC Japanは、コンテナインフラストラクチャソフトウェアの「Docker」とコンテナオーケストレーションツールの「Kubernetes」の導入状況について調査した。コンテナの使用状況は2018年と比較してどう変わったのか。
IDC Japanは、2019年4月に国内の企業および組織468社に対して実施した「Docker」と「Kubernetes」の導入状況に関するアンケート調査結果を発表した。
調査結果によると、本番環境でDockerコンテナ(以降、コンテナ)を使用している企業は9.2%となり、2018年調査からの上昇率は1.3ポイントにとどまった。導入構築やテスト、検証段階と回答した層も16.7%で、2018年調査から大きな変化はなかった。この結果を受け、IDC Japanは、導入検討企業の多くが本番運用にはなかなか移れない状況にあると推測する。これも2018年調査からの上昇率はわずかとなった。「使用を計画、検討している」層と「情報収集や調査を実施している」層の割合は、2018年の調査と比較するとやや低下している。この結果から、この1年で導入意向のある企業とそうでない企業が明確になり、導入意向のある企業が本格的な検討、調査段階に進む状況にある、とIDC Japanでは分析する。
コンテナを本番環境で使用している企業と導入構築/テスト/検証段階にある企業を対象に、Dockerコンテナ環境で使用しているコンテナオーケストレーションツールについて調査した結果、45.5%の企業が「Kubernetes」を使用していることが分かった。次いで、「Red Hat OpenShift Container Platform」が19.8%と続いた。
コンテナの導入環境については、オンプレミスが45.5%、IaaS(Infrastructure as a Service)が31.4%、PaaS(Platform as a Service)/CaaS(Container as a Service)が23.1%であった。IaaSとPaaS/CaaSを合わせると54.5%となり、クラウドサービスに導入している割合が半数を超える結果となった。
コンテナの導入促進要因については、最も多い回答が「インフラの使用効率向上とコスト削減」で34.7%であった。コンテナは仮想マシンに比べて軽量で集約率が高く、CPUやメモリなどのインフラリソースの使用効率が向上し、コスト削減にもつながる。次いで、「開発者の生産性の向上」30.6%、「アプリケーションの信頼性/可用性の向上」28.1%、「アプリケーション運用の効率向上とコスト削減」28.1%、「アプリケーション開発/リリーススピードの向上」27.3%と続いた。
CaaS型サービス普及で「来年までにはキャズム超え」か
この結果を受け、IDC Japanのソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーである入谷光浩氏は、「コンテナはアプリケーション開発の生産性やアプリケーション能力を大きく向上させる技術であり、クラウドネイティブアプリケーションには必須」としながらも、「国内市場において、コンテナはまだキャズムを超えられていない」と分析する。一方でコンテナやKubernetesの導入が容易なCaaS型のサービスやSIerの導入支援が充実しつつあることから、導入意欲がありながら本番運用に進めない企業にとって「強い味方」になると指摘、「来年までにはキャズムを超え、コンテナの本格的な普及期に入っていく」との見解を示した。
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