1296社のCIOに聞いた、DX予算よりも深刻な問題
IDC Japanは、1296社のCIO(最高情報責任者)を対象として、IT投資動向に関する調査を行った。企業が投資を増やしている分野や、IT部門が抱える課題が明らかになった。
IDC Japanは、国内企業および団体1296社のCIO(最高情報責任者)またはそれに準ずる人を対象としてIT投資動向に関する調査を行った。
調査結果によれば、2018年度の国内企業のIT予算は増加傾向にあった。特に従業員数1000人以上の大企業では、前年度と比較してIT予算が「増加」したとの回答が39.5%となり、「減少」および「変わらない」よりも高い回答率を示した。2019年度のIT予算計画ではその傾向が強まり、大企業では46.5%が「増加」と回答した。
システムのお守りコストは変わらず、だが「本当の課題」は別にある
2018年度のIT支出の内訳を分析すると、従業員規模が大きくなるほどシステムの開発に関わる支出が多くなる。特に、既存システムの改修/改善」に対する支出の割合は、従業員規模にかかわらずほぼ同率であるのに対し、「新規開発」に対する支出は従業員規模に比例して上昇し、大企業においては29.5%を示した。
この結果を受け、IDC Japanは、大企業を中心に、既存システムの改修や改善だけでなく、新しいシステム開発への投資が増加していると見る。
一方で、課題はどうだろうか。調査では、IT部門が直面する課題も聞いている。それによると新規案件の予算などよりも別の問題が喫緊の課題であることが明らかになった。
IT部門が直面する課題を見てみると、予算の増減などよりも「セキュリティ/リスク管理の強化」が最も多くなる結果となった。続いて「IT要員不足の解消」が挙がった。後者に関しては、従業員数100人未満の中小企業の中では1位の回答率を示した。
拡大するIT投資意欲に反して、IT人材不足が深刻化する状況はIT部門の人員の負担を増大するとともに、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を阻害する要因となる。
IDC Japan ITサービスのシニアマーケットアナリストである吉井 誠一郎氏は、「国内サービスベンダーには、企業のIT部門と業務部門の双方をテクノロジーによってサポートし、その負担を軽減させつつ、企業のDXジャーニーを包括的に支援する役割が求められる」と指摘した。
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