「フェイクニュース」が登録商標になるかもしれない件:537th Lap
「フェイクニュース(Fake News)」という単語が一般的になりつつある。日本語にすると「虚偽報道」とでも言うべきか。つまり「ウソのニュース」だ。できれば消え去ってもらいたい。
一昔前なら「デマ」の一言で片付けられたかもしれないが、SNSが普及した現在、簡単に「ウソニュース」が拡散される。とんでもないフェイクニュースが、まことしやかに流布されてしまうこともある。そして、いつまでもデータとして残り続ける。誤った情報が拡散され続けてしまうわけだ。
米国のジャーナリスト団体が「Fake News」を登録商標として出願したしたという。一体何のために? まさか、これもフェイクニュースなのか。
この話は本当のことだ。The Florida Pro Chapter of the Society of Professional Journalists(SPJ)という団体が「Fake News」の商標登録を出願し、「FafeNewsTM」というWebサイトを開設した。
最近、ニュース番組や新聞といった報道機関が、一方的で偏った主張を報道することがある。ニュースに同意しかねる人たちは、それを「フェイクニュース」と断じることも少なくない。
顕著な例がドナルド・トランプ大統領だ。同氏が2017年1月に大統領に就任してから今日までの間に、Twitterなどで1200回も「Fake News」という単語を発しているのだそうだ。ほぼ1日1回のペースで「Fake News!」と言っているわけだ。
特にトランプ大統領は、有力紙である『New York Times』と『Washington Post』を名指しで「フェイクニュース」と決め付ける。記者会見の場で、記者からの質問をスルーすることさえある。2019年10月24日には、ホワイトハウスが2紙の定期購読を中止すると発表した。
捏造(ねつぞう)に近いフェイクニュースは、大統領でなくても容認できるものではないだろう。確かにバイアスのかかったニュースや報道番組は少なくない。しかし、一概に「全てがフェイクニュースである」と決め付けられるものでもないはずだ。
SPJは、「フェイクニュースという決め付け」や「レッテル貼り」に対して「彼らの行為は民主主義における言説の自由にとって大きな問題となっている」と明言する。それを世界に喚起したいと考えた末に「Fake News」を商標登録することにしたわけだ。
今のところ「出願中」なので、実際に認められるかどうかは分からない。登録が認められれば、SPJはトランプ大統領を筆頭にフェイクニュースという単語を軽々しく持ち出す人々に対して「フェイクニュースという単語を使うな」という警告を書面で送るという。ぶっ飛んだ発想ではあるが、有効性はどうだろうか。
上司X: 「Fake News」という用語を、米国のジャーナリスト団体が商標登録するために出願中だという話だよ。
ブラックピット: フェイクニュース撲滅のためではないのですね。
上司X: そうだな。
ブラックピット: 確かに自分が納得のいかない報道に対して「フェイクニュース」と決め付ける姿勢はどうかと思いますけども、本当のフェイクニュースを指摘する行為もできなくなったら困りますね。
上司X: それは否めないけど、そういうことはしない団体なんじゃないだろうか?
ブラックピット: 分かりませんよ。自分たちの言論が封殺されないように、他人の言論を封殺しようというわけですから、これで公平な議論ができると言えるのでしょうか?
上司X: キミもイジワルなことを言うね。
ブラックピット: 確かに大統領の物言いにはアレな部分もありますよ。だからといってねえ、その発言自体を封じようとするのはジャーナリストの姿勢としてはいかがなものか。
上司X: 俺もてっきりネットにまん延するフェイクニュースをどうにかするためかと思ったんだけどな。
ブラックピット(本名非公開)
年齢:36歳(独身)
所属:某企業SE(入社6年目)
昔レーサーに憧れ、夢見ていたが断念した経歴を持つ(中学生の時にゲームセンターのレーシングゲームで全国1位を取り、なんとなく自分ならイケる気がしてしまった)。愛車は黒のスカイライン。憧れはGTR。車とF1観戦が趣味。笑いはもっぱらシュールなネタが好き。
上司X(本名なぜか非公開)
年齢:46歳
所属:某企業システム部長(かなりのITベテラン)
中学生のときに秋葉原のBit-INN(ビットイン)で見たTK-80に魅せられITの世界に入る。以来ITひと筋。もともと車が趣味だったが、ブラックピットの影響で、つい最近F1にはまる。愛車はGTR(でも中古らしい)。人懐っこく、面倒見が良い性格。
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